第1の論点 鑑定結果・アドバイスの性質を明記する
鑑定は、統計的・経験的な知見に基づく助言であって、医学的診断や法的助言、投資判断の確実性を保証するものではありません。この性質を規約上明記しておかないと、「鑑定で言われた通りにしたのに結果が出なかった」という不満が、そのまま債務不履行や詐欺の主張につながりかねません。
第2の論点 霊感等を用いた不安をあおる勧誘をしない旨の自主規制
消費者契約法4条3項8号は、「霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見」として、依頼者やその親族に重大な不利益が生じる・生じ得るとの不安をあおり、またはその不安につけ込んで、契約の締結が不可欠である旨を告げる勧誘を禁じています。令和4年の改正により、現在すでに生じている不利益を材料にする場合も対象に含まれ、取消しができる期間も追認できる時から3年、契約締結から10年まで伸長されました(同法7条1項括弧書)。
この規定は、事業者を取り締まるためだけのものではなく、規約に自主規制として明記しておくことに意味があります。「当事務所(鑑定者)は、合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、依頼者やその親族に重大な不利益が生ずるとの不安をあおり、追加の鑑定・契約の締結が不可欠である旨を告げる方法による勧誘を行いません」という趣旨の条項を規約に置くことで、適正な勧誘を行っていることの説明材料になります。
第3の論点 鑑定の対象としない事項を定める
鑑定サービスとして何を扱わないかを、あらかじめ規約で明確にしておくことも重要です。一般的には、次のような事項が「鑑定の対象外」として整理されます。
| 区分 | 内容 | 対象外とする理由 |
|---|---|---|
| 生死・重大疾病 | 生死に関わる判断、病気の診断・余命 | 医療行為に当たりかねず、合理的な根拠を示せない |
| 違法行為・報復 | 犯罪の実行、報復・復讐の後押し | 公序良俗に反する |
| 第三者のプライバシー | 依頼者以外の個人情報を特定する鑑定 | 第三者の権利利益を侵害するおそれ |
| 投資・賭博の判断 | 具体的な銘柄・勝敗の断定 | 断定的判断の提供(消費者契約法4条1項2号)に直結しやすい |
第4の論点 クーリング・オフは発生するか
オンライン鑑定の多くは、広告やSNSを見た依頼者が自分の意思でフォームから申し込む形であり、特定商取引法上の通信販売(2条2項)に該当します。通信販売には法定のクーリング・オフはありません。ただし、無料鑑定・無料相談と称してZoomや電話に誘導し、その場で個別に継続契約を勧誘する運用を行う場合は、電話勧誘販売(2条3項)に該当し、8日間のクーリング・オフ(24条)が発生します。また、法定の記載事項を備えた書面を交付していなければ、この8日間はいつまでも起算しません。
第5の論点 個人情報・相談内容の取扱い
鑑定では、生年月日・氏名・家族関係・健康状態・恋愛関係など、機微な情報を取得することになります。個人情報保護法に基づき、利用目的を特定して通知・公表すること、取得した情報を利用目的の範囲内でのみ扱うこと、安全管理のための措置を講ずることを、規約またはプライバシーポリシーに明記する必要があります。
本ページは一般的な情報です。個別の規約への当てはめは、提供するサービスの実態に基づく確認が必要です。参考: 消費者庁 消費者契約法 / 消費者庁 特定商取引法ガイド
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