このページの要点
- 有償と無償を定義で分け、期限・返金の可否・消費の順番を種類ごとに書く。順番が違うと、退会時に返す金額が変わる。
- 返金は「いかなる理由でも不可」とせず、通話の不成立・障害・誤課金・過払いなどの事由を列挙する。
- チャージバックや不正の疑いは、決済の保留と凍結で受け、確定したものだけ無効にする。
- 退会・利用停止・終了のたびに、残った有償ポイントの扱いと通知を決める。規約の変更で、購入済みのポイントの価値を下げない。
最初に結論:ポイントを「何として売るのか」「何が起きたら返すのか」「やめるとき残りをどうするのか」を決める
このページが扱うのは、占い師を集めて場を提供し、利用者から料金を受け取って鑑定師に報酬を分配する運営会社の側の規約です。占い師が自分で利用者を集める場合はオンライン鑑定の利用規約に必要な条項、運営会社と鑑定師の間は電話占い・占い館に所属する占い師の契約で整理しています。ここでは「利用者」との関係に絞ります。
実務では、「いかなる理由によっても返金しない」「付与日から一律の日数で当然に失効する」「不適切と判断したときは事前の通知なく取り消せる」「退会すれば残高は消滅する」「継続して利用したときは変更に同意したものとみなす」と書く規約を多く見かけます。運営会社には自然な書き方ですが、通話が切れたなどの現場の出来事に当てはめると、通用しない箇所が出ます。
規約は一本で足りるのか:本文・料金表・利用ルールに分ける
本文、料金・ポイント表、利用ルールの三つに分けるほうが、変更と周知を管理しやすくなります。本文にはポイントの定義、返金と失効、退会、責任の範囲、変更の手続を、料金・ポイント表には1分あたりのポイント数、課金の単位、有効期限の数字を、利用ルールには予約の方法と禁止行為を置きます。
問題は食い違ったときの優先順位です。「個別規定は本規約に優先し、運営会社がいつでも制定・変更できる」と書く規約や、有効期限や価値を別の「ポイント規約」に委ねるだけで契約の本体には何も書かない例がよくあります。利用者の権利に直結する事項までキャンペーン規定で上書きでき、次の約款の変更の手続を飛ばす抜け穴になります。定義、返金、失効、退会は本文を優先させ、個別規定は運用の細目に限ります。
不特定多数の利用者に同じ内容で適用する規約は、民法上の「定型約款」にあたると考えられ、規約を契約の内容とする合意があれば、個別の条項まで合意したものとみなされます(民法548条の2第1項)。ただし、信義則に反して一方的に利用者の利益を害する条項は、合意しなかったものとみなされます(同条2項)。変更は、利用者の一般の利益に適合するとき、または契約の目的に反せず合理的なときに限り、効力発生時期を定めて周知したうえでできます(民法548条の4)。「継続して利用したときは同意したものとみなす」「料金の改定は告知した時点で効力を生じる」と書くだけでは、周知の代わりになりません。
特に注意したいのは購入済みのポイントの価値を下げる変更です。購入済みの残高で受けられる時間が短くなるなら、前払いしたものの価値が下がり、合理性の説明が重くなります。「購入済みのポイントは購入時点の料金・ポイント表に従って消費できる」「改定は改定後に開始する鑑定から適用する」と書きます。個人情報は占い相談の個人情報と守秘義務に沿って別に作ります。
ポイントの仕組みは規約にどう書くか:有償と無償、消費の順番、課金の単位
購入して得たポイントが「有償ポイント」、登録特典、キャンペーン、クーポン、友人紹介、お詫びとして付与するものが「無償ポイント」です。実務では、「ポイント」の一語に期限も返金も取消しもまとめて当て、期限は付与日または購入日から一律の日数とする規約が多く見られます。すると有償にも無償と同じ短い期限を当てるか、無償にも返金の要求が及びます。定義で二つを別の語にし、期限と返金の可否を種類ごとに書きます。無償ポイントの取消しも、不正取得、重複付与、システムの誤付与など、列挙した場合に限ります。
残高に有償と無償が混ざっているとき、どれから先に減らすかを決めておかないと、退会時に精算ができません。次の例は仮定の数字です。
同じ利用でも、消費の順番で退会時に返す金額が変わる例
| 項目 | 順番A:無償→有償 | 順番B:有償→無償 |
|---|---|---|
| 購入と付与 | 有償10,000ポイント(10,000円)、無償1,500ポイント | 同じ |
| 鑑定で消費 | 3,600ポイント(1分80ポイント×45分) | 同じ |
| 消費後の残高 | 無償0、有償7,900 | 無償1,500、有償6,400 |
| 返金手数料500円を引いた額 | 7,400円 | 5,900円 |
順番Aは有償ポイントが多く残るため、返金を認める設計なら運営会社の負担が大きく、順番Bは負担が小さい反面、無償ポイントの期限が短いと使い切れないうちに失効しやすくなります。規約と購入画面に同じ順番を書きます。
課金の単位は、電話占いなら時間、チャット占いなら時間やメッセージの数などサイトによって異なります。時間課金なら、始まりと終わりをサーバーの記録で決めると宣言し、端末の表示とずれたときはサーバーの記録を正とします。呼び出し中は課金せず、鑑定師が応答して双方向の音声がつながった時点から課金します。切断は利用者側、鑑定師側、通信障害に分け、後二者は切断以降を課金しません。残高が尽きたときの切断か延長か、自動延長を利用者の事前の選択とするかも決めます。予約の取消しに伴う課金は予約・キャンセル規定の作り方と合わせます。
条文例:ポイントの定義と消費
1「有償ポイント」とは、利用者が当社に対価を支払って取得したポイントをいい、「無償ポイント」とは、当社が対価を受けずに付与したポイントをいう。単に「ポイント」というときは両者を含む。
2ポイントは、有効期限の到来が早いものから順に消費し、有効期限が同じものは、無償ポイントから先に消費する。
3時間に応じて消費する鑑定は、鑑定師が応答し双方向の音声が通じた時点から切断される時点までを、当社のサーバーの記録により計算する。購入したポイントは、購入時点の料金・ポイント表に従って消費できる。
前払いのポイントは、返せるのか。失効させてよいのか
返金も失効も、「まったく許されない」とも「自由に決められる」とも言えません。物差しは、表示の義務、契約全体の公正さ(消費者契約法)、ポイントそのものに関する法律(資金決済に関する法律)の三つです。
サイトからポイントを購入する形は、特定商取引法上の通信販売にあたります。法定のクーリング・オフはありませんが、広告の表示(占い師の広告表示)、申込みの最終確認画面の表示、前払いで代金を受け取ったときの通知の義務は残ります。有効期限、返金の可否と条件、課金の単位は、申込みの確定ボタンの直前で見える形にし、価格は消費税を含む総額で示します(消費税法63条)。電話占いは特定継続的役務提供の指定役務に当たらないとされます(高額カウンセリング・コーチング契約とクーリング・オフ)。
最も多いのは、「購入したポイントは、いかなる理由によっても返金しない」という定めです。運営会社自身の債務不履行(通話が成立しなかった、システムの誤りで多く減らされた)まで含んで読める点が問題で、消費者契約法は、債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項(8条1項1号)と、債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項(8条の2)を無効としています。二重決済や金額の誤入力による過払いまで「返金義務を負わない」とする例もありますが、受け取る根拠のない金銭は不当利得(民法703条)の問題になりえます。過払いは確認のうえ返金する、と書きます。返金する事由は列挙します。
有効期限を置くこと自体は一般的です。ただし、前払いの対価に見合う鑑定を期限切れで受けられなくする定めですから、期限の長さ、起点、購入前の表示、失効前の通知が公正さの判断で見られます。期限切れの失効は解除に伴うものではないため9条1項1号ではなく、主に10条(民法1条2項の基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する条項は無効)の審査を受けます。起点は、購入日・付与日ごと、最初に使った日、最後に利用した日の三つに分かれます。購入日ごとは残高画面に期限を出さないといつ失効するか分からず、最初に使った日は「使った日」の定義が要り、最後に利用した日はログインだけを利用に含めるかを決めないと争いになります。未使用分があっても返金・振替・延長をしないと一律に書く型が多いのですが、通信障害や長期のメンテナンスなど運営会社の側の事由で使えなかった期間だけは、期限を延ばす例外を置くと説明が楽になります。
ポイントが資金決済に関する法律の前払式支払手段にあたるかは、お金を払って購入させるか、自社の鑑定の支払にだけ使えるか、換金や他の利用者への送付ができるかで変わり、届出等の要否は現行の条文と内閣府令で確認します。規約に「前払式支払手段に該当する」と宣言する例も見られますが、条文には宣言ではなく、返金・失効・終了時の扱いという効果を書き、判定は別に行います。
「当たらなかった」「つながらなかった」とき、決済が取り消されたとき、何を返し何を止めるのか
返金の要求は、鑑定の中身への不満(当たらなかった)と、サービスが提供されなかったことへの不満(つながらない、途中で切れた、課金が合わない)に分けられます。前者は返還の対象から外す設計ができ、後者は返す前提で事由を整理します。
「当たらなかった」ことを理由とする返金に応じない旨は、規約に明記しておく意味があります。ただし「利用結果について一切の責任を負わない」ではなく、鑑定は参考情報であり、特定の結果を保証せず、判断は利用者自身が行う、というサービスの性質として書きます(オンライン鑑定の利用規約に必要な条項)。鑑定中に「ポイントを追加しなければ取り返しがつかない」と追加購入を促す言い方は、取消しの対象になりうる勧誘にあたるおそれがあるため(霊感商法と契約の取消し)、鑑定師向けのルールにも禁じます。
返金の申出に期限を設けることはできますが、極端に短い期限や、限られた時間帯の電話だけという申出方法では、事由があっても請求できず、10条の審査で問題になりえます。通話の記録を確認できる期間より短くしないようにします。返金から手数料を差し引くなら、実際にかかる決済の手数料や事務の費用の範囲にとどめます。解除に伴う違約金と評価されるときは、同種の契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分が無効です(消費者契約法9条1項1号)。
カード会社や決済代行会社を挟むと、利用者の異議でカード会社が決済を取り消す(チャージバック)、不正利用の疑いで決済が保留される、といった出来事が運営会社の手の及ばない所で起きます。実務では、決済の取消し、チャージバック、不正の疑い、短時間の大量決済などを事由に、事前の通知なくポイントの付与停止、取消し、決済の保留ができるとし、「決済代行会社の規約に従い、運営会社は一切責任を負わない」と添える規約があります。範囲を絞らないと、疑いだけで正規のポイントまで止め、運営会社自身の誤課金まで免責する定めに読めます。取り消された決済に対応するポイントに限って取り消し、すでに消費していれば未払分として請求する、疑いの段階では取消しではなく「凍結」(使えないが消えない)にとどめ、疑いが晴れたら戻す、と段階を分けます。免責は決済会社に起因する部分に限ります。遅延損害金を付けるなら、消費者契約では年14.6パーセントを超える部分が無効です(消費者契約法9条1項2号)。
返還したときの鑑定師の報酬は、運営会社と鑑定師の契約で決めることです。鑑定師の責めに帰すべき事由がないのに報酬を差し引くと、フリーランス法5条1項2号の問題になりえます。利用者向けの規約は返還の事由だけを定め、報酬の精算は鑑定師との契約に委ねます。
条文例:ポイントの返還
1次の各号に該当する場合、当社は、当該鑑定に係るポイントを利用者に返還する。(1) 鑑定師が応答する前に課金が行われたとき。(2) 通信障害、当社のシステムの障害その他当社又は当社の使用する設備の事由により鑑定が中断し、又は提供されなかったとき。(3) 鑑定師が、利用者の責めに帰すべき事由なく、鑑定を中止し、又は終了したとき。(4) 料金・ポイント表と異なる額のポイントが消費されたとき。(5) 二重決済その他、利用者が誤って過大に支払ったとき。
2前項の返還は、消費されたポイントと同じ種類のポイントを付与する方法による。ただし、これが困難なときは、購入に用いた決済手段に応じた方法により返金する。
3鑑定の内容が利用者の期待に沿わなかったことは、第1項の事由に当たらない。ただし、本項は、当社、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失により利用者に生じた損害を賠償する責任を免除するものではない。
条文例:決済の保留とポイントの凍結
1当社は、決済の取消し、チャージバック、決済代行会社若しくはカード会社からの照会又は不正利用の合理的な疑いがあるときは、当該決済に対応するポイントの付与を保留し、又は当該ポイントの消費を一時的に停止(以下「凍結」という。)することができる。
2当社は、前項の措置をとったときは、遅滞なく、利用者に事由の区分を通知する。疑いが解消したときは、凍結を解除し、保留したポイントを付与する。
3決済が確定的に取り消されたときは、当該決済に対応するポイントを無効とし、すでに消費された部分に相当する額は、当社の請求により、利用者が支払う。他の決済に対応するポイントには、この措置は及ばない。
退会したら、残りのポイントはどうなるのか
退会の条項は、入口で読まれず、出口で初めて読まれる条項です。退会の方法、課金が止まる時点、残ったポイントの扱い、記録の保存を一続きの流れとして書きます。
毎月ポイントが付与される定期課金のプランを置くなら、「毎月〇日までに退会の申請が完了した場合に限り翌月以降の課金を止める」という締切型の定めが欠かせません。ところが締切日が退会の画面に出ていないと、利用者は「退会したのに課金された」と受け取ります。締切日は退会の画面と受付の通知に表示し、過ぎた分の扱いを条文に書きます。当月分は返金せず日割りもしない、という定めも、購入時の表示で見える形にします。
退会の申請を「書面のみ」「窓口で毎月〇日まで」とする規約もあります。入会がオンラインで完結するのに退会だけ書面や窓口であるように、入口と出口の手続に差があると、不利益な定めとして審査されやすくなります。退会は入会と同じ手段(マイページの操作)で受け付けます。準委任に近い性質の鑑定契約は、民法651条1項(656条による準用)により各当事者がいつでも解除できる原則があり、退会を実質的に妨げる手続は、この原則から離れすぎないかが見られます。
未使用の有償ポイントの扱いは三つの設計があります。返金する設計は、手数料の額、申出の期限、本人確認の方法、無償ポイントは対象外であることを書きます。一定期間保管して失効させる設計は、期間の長さと失効前の通知を書き、返金の選択肢を残すと争いが減ります。退会時に消滅させる設計は、前払いの対価に見合う役務を提供しないまま消滅させるため、10条や不当利得(民法703条)の観点から争われうるものです。採るなら、退会の画面に「残りの有償ポイントは〇ポイントで、退会するとすべて消滅します」と表示し、確認のチェックを取ります。
「連絡に〇か月応答がなければ退会したものとみなす」「最後の利用から一定期間でアカウントを抹消する」と書く規約もありますが、期間を空けたままの「一定期間」は恣意的になり、残高のある利用者を消す結果になります。期間と事前の通知を書き、残高があるときは精算の規定に従います。
退会後も、決済の記録や苦情の記録を一定期間残す必要がある場合があります。他方で、保有個人データを事業者が利用する必要がなくなったときは、本人は利用停止等を請求できます(個人情報保護法35条5項)。保存する情報の種類、目的、期間を示し、相談内容と決済の記録は分けて保存期間を決めます。退会後も効力を残す条項は、「性質上存続すべき条項」と抽象的に書かず、条番号で列挙します。
条文例:退会と残高の清算
1利用者は、マイページの所定の画面から、いつでも退会を申請できる。当社は、申請を受け付けたときは、受付と課金が止まる時期を電子メール又はマイページで通知する。
2退会の時点で未使用の有償ポイントがある場合、利用者は、退会の申請の日から〇日以内に、所定の方法により返金を求めることができる。返金は、返金手数料〇円を差し引いた額を、購入に用いた決済手段に応じた方法で行う。この期間内に申出がないときは、当該有償ポイントは失効する。無償ポイントは、退会により失効する。
第2項の「申出がないときは失効する」と定める場合は、退会の画面での残高の表示と、受付の通知への記載が前提です。
利用停止やポイントの取消しは、どこまで書いてよいのか
鑑定師への迷惑行為や不正な決済が起きやすく、利用停止の条項は欠かせません。実務で多い書き方は、事由を並べて最後に「その他当社が不適切と判断した場合」を置き、事前の通知なく、理由を開示する義務を負わず、異議も受け付けず、停止に伴ってポイントは失効し返金もしない、というものです。同じ措置の一覧に「利用停止」「ポイントの利用停止」「ポイントの失効」「強制返金」が混ざる例もあり、疑いの段階の処置と、不正が確定したときの処置が区別されません。
問題は二つあります。運営会社自身の誤りで停止した場合にまで責任を全部免除する書き方は、8条1項1号の問題になります。正規の有償ポイントまで停止と同時に返金なしで消滅させる書き方は、10条や不当利得の観点で争われえます。
直し方は四つです。停止の事由は列挙し、「その他」は列挙と同じ程度に重大な場合に限ります。措置は、警告、一時停止、凍結、無効化、契約の解除に段階を分け、疑いの段階では凍結にとどめます。停止したときは、緊急の場合を除いて事前に、できなければ事後に事由の区分を通知し、異議の窓口を置きます。ポイントは、不正に取得したもの、取り消された決済に対応するものを無効とし、正規の有償ポイントは、停止の解除後に使える、または退会時の清算に従う、と分けます。
条文例:利用停止とポイントの扱い
1当社は、利用者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該利用者に対する鑑定の提供又はアカウントの利用を停止することができる。(1) 鑑定師に対する脅迫、中傷その他の迷惑行為をしたとき。(2) 鑑定の録音、録画その他規約で禁止する行為をしたとき。(3) 他人名義の決済手段を用いたとき、その他不正な決済をしたとき。(4) 前三号に準ずる重大な規約違反をしたとき。
2当社は、前項の措置をとるときは、緊急の場合を除き、あらかじめ、停止の事由の区分と期間をマイページ又は電子メールで通知する。事前の通知ができなかったときは、措置の後遅滞なく通知する。
3利用者は、前項の通知を受けた日から〇日以内に、当社所定の画面から異議を申し出ることができる。当社は、記録を確認して再検討し、結果を通知する。
4第1項の措置に伴い、不正に取得したポイント及び取り消された決済に対応するポイントは無効とする。その他の有償ポイントは、停止が解除されたときは引き続き消費でき、利用契約が終了したときは、第〇条(退会と残高の清算)の例により清算する。
サービスを終了するとき、残ったポイントはどうなるのか
サイトの閉鎖や事業の譲渡は、そのまま利用者の残高の問題になります。実務では、「事前の通知なくサービスの全部を終了できる」「残高の扱いは当社の定める方法による」と書く規約が見られます。残高の扱いを運営会社が後から決める書き方は、返金の有無を事業者が決める権限の付与に読まれるおそれがあります。違反を理由に解除したとき「支払ったポイントは返還しない」と書く型も、前節と同じ整理で、不正取得分と正規の有償ポイントを分けます。
直す点は、通知の期間、使い切る期間、残った有償ポイントの扱いの三つです。終了の何か月か前までに通知し、その間は新たな販売を止めて消費だけを認め、使い切れなかった有償ポイントは返金する、と先に決めます。無償ポイントは終了日に失効させるのが通例です。事業を譲渡する場合は、利用契約上の地位と残高を譲受人に移すことをあらかじめ書きます。
条文例:サービス終了時の残高
1当社は、サービスの全部を終了するときは、終了の日の〇か月前までに、マイページ及び電子メールで利用者に通知する。通知の後は、新たな有償ポイントの販売を停止する。
2終了の日までに消費されなかった有償ポイントは、利用者の申出により、第〇条(退会と残高の清算)の方法で返金する。申出の期間は、終了の日から〇日間とする。無償ポイントは、終了の日に失効する。
使いすぎと未成年者に備える:歯止めは規約と画面の両方に置く
使いすぎたという苦情は、規約の免責よりも、利用の仕組みに歯止めがあるかどうかで評価が分かれます。購入の上限(1回あたり、1か月あたり)、自動延長を既定でオフにすること、直近の利用時間と消費ポイントを確認できる画面を用意します。深刻な精神的な危機への対応は占い相談の依存・精神的危機への対応で扱っています。
未成年者が一人で契約をすると、法定代理人の同意がなければ、後から取り消すことができます(民法5条1項・2項)。「保護者の同意を得ているものとみなす」「成年と偽った場合は取消しできない」と書く規約も見られますが、書いただけでは取消権の有無は変わりません。詐術を用いたときは取り消せなくなりますが(民法21条)、生年月日の入力や「成年です」のボタンだけで詐術と認められるとは限りません。利用資格を18歳以上とし、登録の画面とカードの名義で確かめ、未成年と分かったときの対応(停止、返金)と購入の上限を決めます。
よくある失敗と直し方、確認する事項
ポイント制の会員規約で実務上よく見られる書き方を、誤りやすい条項と直した条項の対で示します。条項の文は新たに書いたものです。
ポイント制の規約でよくある書き方と、整えた書き方
返金
「いかなる理由」に当社の債務不履行や誤課金まで含んで読めるため、8条1項1号・8条の2の観点で問題になります。
利用停止・取消し
包括条項と、有償ポイントの一律の失効は、取消しの有無を運営会社が決める権限の付与に読まれ、10条や不当利得の観点でも争われやすくなります。
責任の制限
「法令上許される範囲で」と添えても、全部免除と読める部分が救われるとは限りません。軽過失の一部免除は、重大な過失を除くことを上限を定めるその一文の中に書かないと、8条3項により無効とされるおそれがあります。
規約の変更と料金改定
継続利用で同意したとみなす書き方も、告知した時点での効力も、周知の代わりになりません。
規約を書く前に、運営会社に確認する問い
- ポイントは鑑定の料金の支払にだけ使えますか。物販、ギフト、他社サービスへの交換はありますか。使い道の広がりが、前払式支払手段の整理とサービス終了時の扱いを左右します。
- 有償と無償の区別はシステム上できていますか。付与の経路ごとに、期限と消費の順番はどう処理されていますか。規約の定めとシステムの動きが違うと、返金の場面で説明がつかなくなります。
- 決済代行会社は何ですか。返金はどの経路でできますか。チャージバックや不正の疑いがあるとき、誰が決済の保留を決め、ポイントを凍結できる機能はありますか。返金の方法と、取り消された決済のポイントの扱いは決済の経路で変わり、凍結の機能がなければ疑いの段階の措置を書けません。
- 毎月ポイントが付与される定期課金のプランはありますか。解約の締切日は画面のどこに出ますか。締切型の退会は、表示がないと「退会したのに課金された」という苦情の典型になります。
- 鑑定師の報酬は、ポイントのどの時点で確定しますか。返還したときの扱いは、鑑定師との契約でどう決まっていますか。利用者向けの規約と鑑定師向けの契約の食い違いを防ぐためです。
- 利用停止は、誰が、どの基準で決め、どう通知し、異議をどこで受けますか。長期間使われていないアカウントはどう扱っていますか。停止や抹消の理由を説明できないと、有償ポイントの扱いが争いになるためです。
- 使われている規約の版は一つですか。サービスの終了や事業の譲渡の予定はありますか。規約が複数あると適用関係が分からなくなり、終了や譲渡の予定は残高の条項に響くためです。
よくあるご質問
ポイントに有効期限を設けてもよいですか?
設けること自体はできます。ただし、期限の長さ、起点、購入前の画面での表示、失効前の通知が公正さの判断で見られます。短すぎる期限や、購入後に初めて分かる期限は、消費者契約法10条の審査で不利になります。有償と無償で分けて書くのが安全です。
退会したとき、残っている有償ポイントを返さなくてもよいですか?
一律には言えません。返金する、保管して失効させる、退会時に消滅させる、のどれを採るかは事業の設計ですが、前払いの対価が残ったまま消滅させる設計は、消費者契約法10条や不当利得の観点から争われる可能性があります。消滅させる場合は、退会の画面で残高と消滅を表示し、確認を取ります。
鑑定が当たらなかったという理由で、返金に応じる必要はありますか?
鑑定は結果を保証するものではないという性質を規約に書くことで、鑑定の中身への不満を返還の対象から外す設計ができます。ただし、つながらなかった、障害で切れた、誤って課金された、というサービスが提供されなかった場合は、返す前提で事由を整理します。
チャージバックや不正利用の疑いがあるとき、ポイントはすぐ取り消してよいですか?
疑いの段階では取消しではなく、決済の保留や、使えなくするが消さない「凍結」にとどめ、事由を通知します。決済が確定的に取り消されたら、その決済に対応するポイントだけを無効にします。
未成年者が購入したポイントは、取り消されますか?
法定代理人の同意なく行った法律行為は、民法5条2項により取り消すことができます。成年と偽ったことが詐術にあたれば取り消せなくなりますが(21条)、年齢の入力やボタンを押させるだけでは、詐術とは限りません。利用資格の確認と購入上限を設けて備えます。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の事業への当てはめは、提供する内容、料金の受け取り方、勧誘の方法、お客様が事業者か個人かなどによって異なります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 消費者契約法(消費者庁) / 景品表示法(消費者庁) / 国民生活センター