高額カウンセリング・コーチング契約とクーリングオフ

「潜在意識」「引き寄せ」「波動」「宇宙の法則」といった言葉を使い、数十万円規模のコースやカウンセリングを分割払いで販売する――この種の取引は、消費者契約法・特定商取引法のなかでも、特に取消し・無効のリスクが高い類型として扱われます。

トップページ › 高額カウンセリング・コーチング契約とクーリングオフ
契約書に「返金不可」と書いてあっても、それが法的に有効とは限りません。
高額カウンセリング・コーチング講座には、性質の異なる3つの法的な攻め口が同時に成り立ちます。条項の無効、契約の取消し、クーリング・オフです。契約書を直しても取消しとクーリング・オフは残り、勧誘を適正化しても無効な条項は無効のままです。3つをまとめて把握しておく必要があります。

この分野で消費生活相談が繰り返し公表されている

国民生活センターは、占い・スピリチュアル・自己啓発系の高額契約について、繰り返し注意喚起を公表しています。

国民生活センターの主な公表資料
公表日タイトル要点
令和2年11月26日占い師や鑑定士を名乗る者からメッセージが届きやめられない不安をあおる告知を入口に、支払いが高額化し、やめたくてもやめられない引き止めが続く手口
令和3年7月1日オンラインサロンで稼ぐ!?収入が得られるかのような勧誘で高額講座を契約し、解約・返金に応じてもらえない相談
平成30年8月2日簡単に高額収入を得られるという副業・投資の儲け話「必ず稼げる」等の断定的な表示による情報商材・サポートプランの販売
令和5年5月17日無料カウンセリング等を受けるだけのつもりが高額契約に無料相談と称してWeb会議に誘導し、その場で高額契約を勧誘する手口
これらの公表資料が示す手口の型と、自社の集客・勧誘の実態がどれだけ重なるかを把握しておくことは、契約書の条項を整えることと同じくらい重要です。外形が重なるほど、消費生活センターや受講者側の専門家は厳しい初期姿勢で臨んできます。

武器1 条項の無効――契約書に書いてあっても効力を持たない場合

消費者契約法は、消費者に一方的に不利な条項を、契約書に書いてあっても無効とする強行規定を複数置いています。

受講者には、本来、民法651条(656条で準用)によりいつでも将来に向かって契約を解除する権利があります。中途解約しても残額全額の支払いを免れないという設計は、この解除権を経済的に無意味にするものです。最高裁は、大学の学納金不返還特約について、同様の構成を違約金の定めとして扱い、平均的な損害を超える部分を無効と判断しています(最判平成18年11月27日・学納金返還請求事件)。

武器2 契約の取消し――勧誘のやり方が問題になる場合

契約書の条項をどれだけ整えても、勧誘のやり方に問題があれば、契約そのものが取り消されます。特に次の2類型は、潜在意識・引き寄せ・霊感・波動といった言葉を使う講座で、類型的にリスクが高くなります。

契約の取消しにつながる勧誘の類型
類型根拠取消しができる期間
断定的判断の提供消費者契約法4条1項2号(将来の収入・効果などを断定的に告げる)追認できる時から1年・契約締結から5年
霊感等による知見を用いた告知消費者契約法4条3項8号(不安をあおり契約の締結が不可欠と告げる)追認できる時から3年・契約締結から10年

広告やLP、SNS投稿の文言も「勧誘」に当たり得るというのが判例の立場です(最判平成29年1月24日・クロレラチラシ配布差止等請求事件)。個別のセッションでの発言に問題がなくても、広告の表現だけで取消しの基礎になり得ます。

武器3 クーリング・オフ――販売類型そのものに紐づく無条件の離脱権

無料カウンセリング・無料セッションと称してZoomや電話に誘導し、その場で高額なコースを勧誘して契約させる販売方法は、特定商取引法上の電話勧誘販売(2条3項)に該当するおそれがあります。該当すると、契約書の内容にかかわらず、8日間のクーリング・オフ(24条)が強制されます。

特に重要なのは、クーリング・オフの起算点が「法定の記載事項を備えた書面(または承諾を得た電磁的記録)を受領した日」である点です。Googleフォームの送信のみで契約の成立を扱い、受講者に契約内容の控えを交付していない場合、法定書面を交付していないことになり、8日間はいつまでも起算しません。受講者は契約からどれだけ時間が経ってもクーリング・オフでき、提供済みの役務の対価を含めて全額の返還を求めることができます(24条5項・6項)。これに反する特約は無効です(同条8項)。

① 条項の無効 対象:契約書の文言期間制限:なし効果:その条項だけが 効力を持たない ② 契約の取消し 対象:勧誘・広告のやり方期間制限:1〜10年効果:契約が遡って無効 既払金は全額返還 ③ クーリング・オフ 対象:販売類型そのもの期間制限:書面受領後8日効果:無条件で解除 提供済み役務も全額返還
この3つはそれぞれ独立して成立します。1つに対応しても、残り2つのリスクは消えません。
高額カウンセリング・コーチング講座を販売するなら、契約書の条項整備だけでなく、勧誘の運用(どこで集客し、どこで個別に勧誘しているか)まで含めて設計する必要があります。この点は、養成講座・認定制度を運営する場合にも共通します。「養成講座の受講契約書」もあわせてご確認ください。

本ページは一般的な情報です。個別の契約への当てはめは、勧誘の実態に基づく確認が必要です。参考: 国民生活センター 公表資料 / 消費者庁 消費者契約法

あわせて読みたい、関連する別のガイド

あわせて読みたいページ

占い・鑑定サービスの規約や契約書でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

公式LINEで無料相談する
アトラス行政書士法人 公式LINEの友だち追加QRコード
  1. 公式LINEを友だち追加
  2. 「占い師開業のサイトを見た」とメッセージを送信
  3. ご相談内容を確認し、LINEでご返信します(24時間・土日祝対応)

相談無料です。料金が発生するのは、お申込みいただいた書類の作成・点検だけです。

LINEで友だち追加して無料相談する

ご依頼・納品の流れを見る