開運グッズ・パワーストーンの販売と契約書

物品の販売は鑑定とは別の取引です。効果を保証しない書き方、個体差の説明、オーダー品の段階ごとの精算、返品特約の表示の順に整理します。

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契約書には効果を保証しないと書いたのに、SNSの投稿では効果を強調していた。広告の表示は、契約書の非保証で打ち消せません。

このページの要点

  • 既製品の選定とオーダー制作は別の取引。依頼の範囲を見積書で特定する。
  • 効果を保証しない旨と、販売ページ・SNSの表現を一致させる。健康に関する効果の表示は避ける。
  • 天然石の個体差は「契約の内容」として説明する。免責の形で書くと消費者契約法8条で無効になるおそれがある。
  • オーダー品は、内金の性質と「制作開始」を定義し、段階ごとの実費で精算する。返品特約は広告に表示する。

最初に結論:効果は保証しない。個体差は「契約の内容」として説明する。オーダー品は段階で精算する

結論開運グッズ、パワーストーン、お守りのような物品の販売は、占いの役務とは別に、売買や制作の契約として整えます。効果を保証しない旨と販売ページの表現の一致、天然石の個体差の書き方、オーダー品の制作段階ごとのキャンセル精算の3点が柱です。

占い師が、鑑定に合わせて天然石のブレスレットやお守りを提案する、あるいはお客様の希望を聞いて、石を選び、デザインしたジュエリーを制作して販売する。こうした物品の販売は、鑑定とは性質の違う取引です。鑑定は役務の提供(準委任に近い)ですが、物品の販売は売買であり、オーダーメイドなら制作の要素も加わります。占い師としての開業の全体像は占い師の開業の始め方で、鑑定の規約はオンライン鑑定の利用規約で扱っています。鑑定の規約をそのまま物品にも使うと、返品、不具合、個体差、制作の途中のキャンセルといった物品特有の問題を、規約が全く扱っていないことになります。

事務所が点検した、SNSを経由して受注するオーダージュエリーの契約書では、この問題が典型的に現れていました。「唯一無二のジュエリー」「最適なジュエリーを提供する」といった魅力的な表現は、契約書としては、特定の結果や効果まで約束したように受け取られかねませんでした。また、既製品の選定と、裸石を探してオリジナルのジュエリーを制作する場合とが同じ条文で扱われ、キャンセル規定の「制作開始」の意味も決まっていませんでした。以下では、その改訂の考え方を、一般化して整理します。

開運グッズの販売で整えること

論点決めること関連する法律
効果の表示運気向上、願望成就、健康改善を保証しない。販売ページの表現と一致させる景品表示法5条1号、特定商取引法12条、薬機法66条1項
個体差天然石の色味・模様・内包物などの個体差は契約の内容であって、不適合ではない民法の契約不適合責任(562条以下)、消費者契約法8条
契約の成立SNSやLINEのメッセージでの承諾でも成立することを認める特定商取引法(通信販売)の表示と通知
オーダー品の精算制作の段階ごとのキャンセルと実費負担、内金の性質消費者契約法9条1項1号、民法641条
返品返品特約を広告と最終確認画面に表示する特定商取引法15条の3
鑑定とのセット販売購入しなければ不利益が生じる、と告げない消費者契約法4条3項8号

各論点の考え方は、このページの以下の節で順に解説します。霊感等を用いた勧誘は霊感商法と契約の取消しが、ネットショップ全般の返品と表示は、別サイトのネットショップのガイドが詳しく扱っています。

既製品の販売と、オーダー制作を分けて書く

契約書で最初に確認するのは、何を依頼されたのか、です。すでに完成している石やアクセサリーを選んで売る取引(既製品の選定)と、お客様の希望や相談の内容を踏まえて、裸石を探し、デザインを起こし、職人に発注して制作する取引(オーダー制作)は、進め方も責任の範囲も違います。前者は売買、後者は注文者の希望を反映して制作する契約で、制作の過程でお客様の承認が必要になります。

同じ条文で扱うと、「どこまで依頼されていたのか」という認識の違いが生じやすくなります。契約書には、サービスの内容として、宝石等の選定・調達、宝石等の仕入れ、ジュエリーのデザインの作成、ジュエリーの制作、これらに付随する助言と相談対応を列挙し、依頼されたものがどれなのかを、見積書などで特定する仕組みにします。仕様(種類、石、素材、サイズ、デザイン)の確定の方法、制作開始後の仕様変更の可否と追加費用も、条文にしておきます。

効果を保証しない旨と、販売ページの表現を一致させる

契約書に「運気向上、健康改善、願望成就、人間関係の改善その他の精神的又は身体的な変化については個人差があり、特定の効果、効能又は結果を保証するものではない」と書くことは必要です。同時に、物品が医療行為や治療を目的とするものではないことを、お客様が確認する形にします。

ただし、契約書に書いただけでは足りません。販売ページやSNSの投稿で、「身に着けると必ず運気が上がる」「病気が良くなる」といった表現を使っていれば、契約書の非保証の条項とは矛盾します。通信販売の広告で、役務の内容や商品の性能について、著しく事実に相違する表示、実際のものよりも著しく優良であると誤認させる表示をすることは禁止されており(特定商取引法12条)、行政は表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。資料を提出できないと、その表示は誇大広告とみなされます(12条の2)。景品表示法も、商品の内容について実際よりも著しく優良であると一般消費者に示す表示を、優良誤認表示として禁止しています(5条1号)。

開運グッズの表現の見直し

運気・願望

避けたい言い方身に着けるだけで、望みが必ず叶います。
書き換え例お客様のご希望やお気持ちをお聞きして、石を選び、制作します。感じ方や価値には個人差があり、特定の効果や結果をお約束するものではありません。

将来の願望の実現を断定する表現は、事実と異なる告知(消費者契約法4条1項1号)や、景品表示法の優良誤認の問題になります。選定と制作の内容を説明する表現にします。

健康・病気

避けたい言い方この石が、不調や病気を和らげます。
書き換え例健康に関する効果についての表示は行いません。

病気の治療や症状の改善を暗示する表現は避けます。薬機法は、医薬品等の効能や効果について、虚偽や誇大な広告を「何人も」してはならないと定めています(66条1項)。物品が医薬品等にあたると評価されると、規制の対象になります。

実績・口コミ

避けたい言い方お客様の9割が、願いが叶ったと実感しています。
書き換え例掲載しているお声は、個人の感想であり、効果を示すものではありません。

数字を使う表示は、根拠資料が必要です。打消し表示は、効果の表示と一体的に分かるように示さなければなりません。

表示全般の考え方は占い師の広告表示で詳しく解説しています。

天然石の個体差と、デザイン画との差異を、契約の内容として説明する

天然石には、色味、模様、透明度、内包物、クラック、形状に、一つ一つ違いがあります。お客様が「写真と違う」「イメージと違う」と感じる原因の多くは、この個体差です。契約書には、宝石等は天然由来の素材を使う場合があり、色味、模様、透明度、内包物、形状などの外観には個体差があること、それは素材の性質に起因するもので、不良品や契約不適合にあたらないことを書きます。デザイン画、CG、写真、サンプルなどの完成前の資料は、完成のイメージを共有するためのもので、完成品とは合理的な範囲で差異が生じうることも書きます。

ここで注意したいのは、書き方の区別です。「個体差は契約の内容である」と定義することと、「契約不適合があっても責任を負わない」と免責することは、別のことです。前者は、約束した品質の中身を決める記述であり、有効です。後者は、事業者の債務不履行の責任を全部免除する条項として、消費者契約法8条1項により無効になる場合があります。契約書の書き方は、「個体差は不適合に該当しない」という、契約内容を定める形にします。

個体差とそれ以外の不具合の線引き

事象扱い書き方の要点
色味、模様、濃淡、内包物、クラックなど天然由来の特徴契約の内容に含まれ、不適合にあたらない事前に説明した特性として、契約書に列挙する
完成前のデザイン画やCGとの合理的な範囲の差異不適合にあたらない完成のイメージを共有する資料であると書く
石留めの不備、金具の不具合など製造上の不具合不適合として、修理、補修、交換などで対応する通知の期限と方法を定め、期間内に通知がなければ適合とみなす
通常の使用による摩耗、変色、経年変化、落下による損傷保証の対象外対象外の事由を列挙する

通知の期限を短く定めると、お客様に不利な特約と評価されるおそれがあります。期限は、使用の実態に照らして合理的な長さにします。

SNSやLINEのメッセージで受けた依頼の契約の成立

オーダー品は、InstagramやLINEのやり取りから始まることが多く、契約書を取り交わす前に、見積りや打合せが進みます。契約書には、承諾の方法として、契約書への署名・記名押印のほか、電子契約サービス、電子メール、LINE、InstagramなどのSNSのメッセージその他の電磁的方法を認めると書きます。実際の受注の方法と契約書の内容が一致していれば、契約の成立の時期をめぐる争いを避けられます。

SNSの投稿やメッセージを通じて受注する場合も、特定商取引法の通信販売の表示の義務は外れません。事業者の名称、住所、電話番号、価格、支払の時期と方法、引渡しの時期、申込みの撤回・解除に関する事項などを、販売の広告の中で示す必要があります。オーダー品について返品の特約を設けるなら、その内容を広告に表示しなければなりません(15条の3第1項ただし書き)。表示がなければ、商品の引渡しを受けた日から8日間は、購入者が返品できます。この場合の返品の費用は、購入者の負担になります(同条2項)。

事務所の書類では事務所の書類では、オーダー品の契約書に、見積書で特定する事項(種類、素材、サイズ、デザイン、価格、納期)を契約の内容として取り込み、承諾の方法を電磁的方法に広げる条項を置きます。あわせて、通信販売としての広告の表示(返品の特約を含む)が販売の窓口に出ているかを確認します。契約書だけを整えても、広告にオーダー品の返品不可の表示がなければ、法律上は返品の特約として主張できないためです。

オーダー品の契約書を作る前に確認する問い

  1. 既製品を選んで売る取引と、石から探して制作する取引の、どちらを扱いますか。両方なら、どう使い分けますか。依頼の範囲を特定する書き方が変わります。見積書の様式も、取引ごとに分けるのが基本です。
  2. 内金は、いつ、いくら受け取りますか。残代金はいつまでに受け取りますか。内金の性質(前払いの一部)と、制作に着手する条件(入金の確認)を結び付けて書きます。
  3. お客様の承認を得る場面(石、デザイン、見積り)は、どこですか。承認の方法は何ですか。承認の時点が、キャンセルの段階を分ける境目になります。メッセージでの承認も認めるかを決めます。
  4. 職人や外部の業者に発注するのは、どの時点ですか。「制作開始」の定義に入る工程を決める手がかりです。発注後の取消しに費用がかかるかも確認します。
  5. 納期が仕入れや制作の状況で動く場合、お客様にどう知らせますか。納期の変更の通知と、遅延の責任の範囲を決めます。故意または重大な過失の場合を除く旨を添えます。
  6. 完成した後、長期間受け取られない場合は、どうしますか。保管の費用の請求や、受領の催告の手続を決めます。

内金の性質と、制作の段階ごとのキャンセル精算

オーダー品のトラブルで最も多いのは、制作の途中のキャンセルです。契約書には、キャンセルした場合の精算を、制作の段階ごとに書きます。そのためには、まず内金の性質を決める必要があります。内金は、予約金なのか、着手金なのか、代金の一部の前払いなのか。性質によってキャンセルのときの扱いが変わるため、「本契約に基づく代金の一部前払金として取り扱い、最終代金に充当する」と書いておくのが明快です。

オーダー品のキャンセルの段階と精算(設計例)

  1. 契約の成立後、一定時間内内金を全額返金します。お客様が冷静に考え直す余地を残す段階です。
  2. その後、石やジュエリーの正式な仕入れの前事務手数料、相談対応、契約準備のために要した費用として、内金の一定割合を控除した残額を返金します。
  3. 正式な仕入れの後すでに発生した石の代金、仕入れの費用、送料、手数料など、現に発生した費用をお客様が負担し、内金などから控除します。
  4. デザインの承認の後デザイン料その他、制作準備のために要した費用を負担します。
  5. 制作の開始後すでに発生した材料費、加工費、職人への発注費用、デザイン料その他の費用と、これに伴い現に発生した損害を負担します。受領済みの金員は返金せず、不足があればお客様が支払います。

段階ごとに負担を重くするのは、実際に発生している費用が段階ごとに増えるからです。割合や金額は、費用の実態に合わせて決め、説明できる状態にします。

この設計で重要なのは、「制作開始」の定義です。原案では、「裸石が見つかった後」「制作開始前」「制作開始後」と区分されていましたが、それぞれがどの時点なのかが書かれていませんでした。裸石を見つけた段階なのか、お客様が承認した段階なのか、正式に仕入れた段階なのか。デザインの作成を始めた時点なのか、職人に正式に発注した時点なのか、実際に加工に着手した時点なのか。トラブルの争点はこの境界にあります。改訂では、「制作開始」を、石の正式な仕入れ、デザインの作成、設計、職人への正式発注、加工その他これらに準ずる工程のいずれかに着手した時点と定義しました。

制作が始まる前のキャンセルは、事業者に生ずる損害が小さいため、民法の原則にも近い形で、実費中心の精算にするのが自然です。請負については、民法641条が、請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除できると定めています。この「損害を賠償して」の中身を、段階ごとに契約書で具体化したものが、上の設計です。控除する額や負担する額は、消費者契約法9条1項1号の「平均的な損害」を超えないように、説明できる根拠を用意しておきます。制作の段階ごとの精算の一般論は、受注生産品の販売に共通する論点で、ネットショップのガイドでも触れられています。

所有権の移転、保管、デザイン画の権利、制作事例の掲載

代金が完済されるまで所有権をお客様に移さない定め(所有権留保)は、分割や追加の請求がある取引で有効です。さらに、お客様の都合で完成後に長期間受け取られない場合の扱い(連絡のうえで相当の期間を定めて受領を催告し、なお受け取られなければ、保管に要した合理的な実費を請求する)も決めておきます。納品後の危険は、運営者の責めに帰すべき事由がある場合を除き、お客様が負うという整理が一般的です。

デザイン画、ラフスケッチ、CADデータ、提案資料の著作権は、運営者に帰属させ、完成品の所有権が移っても移転しない旨を書きます。お客様が営業目的などで無断で利用することは禁止します。制作した作品を、事例としてホームページやSNSに載せたいときは、お客様の氏名や肖像などを特定できる情報を、事前の承諾なく公表しないことを約束し、公開を希望しないお客様が申し出る方法を決めておきます。

鑑定・祈祷とのセット販売では、売り方に注意する

鑑定の結果を踏まえて開運グッズを勧める、祈祷やお祓いと併せて販売するという売り方は、占いの現場でよく見られます。ここで問題になるのが、霊感等による知見を用いた告知です。「これを買わなければ不幸が続く」「身に着けないと家族に災いが及ぶ」といった言い方で契約を迫ると、消費者契約法4条3項8号の取消しの対象になり得ます。売るのは物品であっても、勧誘の根拠が霊感にある以上、同じ規律が及びます。

鑑定の規約に、「鑑定の結果を理由に、物品の購入や寄附などの金銭の支出を求めない」旨を置くと、鑑定の場の発言と、物品の販売を切り離せます。物品の購入は、鑑定の後に、お客様が販売ページで自分で判断して行う、という導線にしておくことも、勧誘と評価されるリスクを下げます。

開運グッズ・オーダー品の契約書の点検

  • 既製品の選定とオーダー制作を区別し、依頼の範囲を見積書で特定している
  • 効果を保証しない旨と、販売ページ・SNSの表現が一致している
  • 天然石の個体差と、完成前の資料との差異を、契約の内容として説明している
  • SNSやLINEの承諾でも契約が成立することを書き、広告の表示(返品の特約を含む)を整えている
  • 内金の性質と、制作開始の定義、段階ごとのキャンセル精算を書いている
  • 鑑定の場で、購入を求めたり、不安と結び付けたりしないルールを決めている

よくあるご質問

「お守りの効果は保証しません」と書けば、効果を宣伝しても大丈夫ですか?

大丈夫ではありません。契約書の非保証の条項は、広告の誇大な表示を打ち消しません。通信販売の広告では、著しく事実に相違する表示や、実際より著しく優良と誤認させる表示が禁止されています(特定商取引法12条)。景品表示法の優良誤認表示にも当たり得ます。表示の根拠となる資料も求められます。

オーダー品は、返品不可にしてよいですか?

通信販売では、返品の特約を広告に表示していれば特約が優先し、電子的な申込みでは広告に加えて、最終確認画面などの省令が定める方法での表示も必要です(特定商取引法15条の3第1項ただし書き)。表示がないと、引渡しを受けた日から8日間は購入者が申込みの撤回や解除ができます。オーダー品の返品不可は、広告と最終確認画面に分かりやすく表示します。契約書だけに書いても足りません。

天然石の色が写真と違うと言われた場合、返金しなければなりませんか?

個体差が事前に説明され、契約の内容として合意されていれば、不適合にはあたりません。ただし、説明や契約書の記載がなければ、争いになります。契約書に個体差と、完成前の資料との合理的な範囲の差異を書き、販売ページにも注意書きを載せておくことが大切です。

制作の途中でキャンセルされたら、どこまで請求できますか?

現に発生した費用を、段階ごとに請求できる設計にします。正式な仕入れ、デザインの承認、職人への発注、加工への着手といった段階を定義し、それぞれで発生した費用を示せるようにします。民法641条は、注文者がいつでも損害を賠償して解除できると定めており、賠償の範囲は、消費者契約法9条1項1号の平均的な損害を超えないようにします。

鑑定をしてから、お守りや石を勧めてもよいですか?

勧めること自体は禁止されていません。ただし、買わなければ不幸になる、といった言い方で不安をあおり、購入を迫ると、霊感等による知見を用いた告知として取消しの対象になり得ます。鑑定と物品の販売を切り離し、お客様が自分で判断して購入する導線にすると、勧誘と評価されるリスクを抑えられます。

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