このページの要点
- 報酬は「売上」の定義と控除項目で手取りが決まる。精算の明細を確認できるかを見る。
- フリーランス法により、取引条件の明示、60日以内の報酬の支払、減額等の禁止、継続的業務委託の解除の30日前予告が運営会社に課される。
- 待機・ノルマ・ペナルティが強く拘束するほど、名目が業務委託でも、実態が労働者に近づく。
- 専属・直接連絡の禁止・退所後の制限・占い師名の帰属は、期間と範囲の合理性を確認する。
最初に結論:所属先との契約は業務委託が基本。報酬、待機、専属、名義、終了の5つを読む
占い師が自分でお客様を集めて鑑定する形のほか、電話占いやチャット占いのサイトを運営する会社に所属し、そのサイトを通じて鑑定する形、占い館に所属して店舗で鑑定する形があります。後者では、お客様を集めて、決済し、鑑定者に報酬を分配するのは運営会社で、占い師は運営会社と契約を結びます。契約書は運営会社が用意することが多く、占い師の側からは、条件の読み取りと、確認すべき点の整理が重要になります。
このページは、運営会社の側にも、占い師の側にも役立つよう、所属契約で決める事項と、法律上の位置づけを整理したものです。なお、事務所の資料の中には、電話占いや占い館との契約の案件はありません。ここでの解説は、法令(e-Gov法令検索)と、公的機関の公表資料に基づく一般的な整理です。
所属型の鑑定契約で読む5つの点
| 点 | 決めること | 確認する理由 |
|---|---|---|
| 報酬 | 歩合率、課金の単位(通話時間か鑑定件数か)、手数料の控除、精算と支払の日、返金時の扱い | 手取りが決まる。控除の項目が多いと、見かけの率より低くなる |
| 待機・ノルマ | 待機の時間、最低稼働時間、鑑定数の目標、未達成のときの扱い | 働き方の拘束の程度を示す。罰金的な控除は不利益になる |
| 専属・兼業 | 他社での鑑定の制限、お客様との直接連絡の禁止、引き抜きの禁止 | 独立して活動する自由を制約する |
| 占い師名・プロフィール | ビジネスネームの使用権、プロフィール文・写真・口コミの帰属 | 退所後に名前や評価を持ち出せるかが決まる |
| 終了 | 期間、更新、解除、予告、退所後の競業や接触の制限、顧客情報の扱い | 辞めるときの条件と、辞めた後の制約を決める |
5つの点は、契約書の条項だけでなく、運営会社の利用規約、ガイドライン、報酬規程といった別の文書に書かれていることがあります。契約書が「別に定める規程による」としている場合は、その規程も入手して読みます。
契約の型:業務委託契約、所属契約、プラットフォームの利用規約
所属型の鑑定の契約は、形式によって読み方が変わります。運営会社が個別の契約書を結ぶ「所属契約・業務委託契約」の形と、占い師が運営会社のプラットフォームに登録し、利用規約に同意する形があります。どちらも、法的には業務委託の関係であることが多く、鑑定者は、運営会社に雇用されるのではなく、独立した事業者として、鑑定という役務を提供します。
契約の型と、読み方の違い
| 型 | 特徴 | 読む順番 |
|---|---|---|
| 個別の業務委託契約書 | 報酬、期間、専属などを個別に定める。契約書に署名または電子契約で同意する | 契約書の本文、別紙の報酬表、運営会社の規程の順 |
| プラットフォームの利用規約 | 登録時に規約に同意する。運営会社が一方的に規約を変更できる定めがあることが多い | 規約本文、変更の条項、報酬規程、ガイドラインの順 |
| 占い館の出演契約 | 店舗での鑑定。席料や固定報酬、出勤日が定められることがある | 契約書、出勤のルール、席料・指名料の定めの順 |
型が異なっても、確認する5つの点は共通です。規約型で後から条件が変わる場合は、変更の通知の方法、変更に異議を述べる方法、変更に同意しない場合の退会の手続を確認します。
フリーランス法:取引条件の明示、支払期日、禁止行為、解除の予告
占い師が、従業員を使用しない個人(または一人だけの代表者の法人)として、運営会社から業務の委託を受けるとき、占い師は「特定受託事業者」にあたります(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律2条1項)。そして、運営会社は「業務委託事業者」となり、従業員を使用するか、2人以上の役員がある法人であれば「特定業務委託事業者」にもなります(同条5項・6項)。鑑定という役務の提供を委託する関係は、同法2条3項2号の業務委託にあたります。
フリーランス法が運営会社に課す主な義務
| 義務 | 条文 | 内容 |
|---|---|---|
| 取引条件の明示 | 3条 | 業務委託をしたときは直ちに、給付の内容(鑑定の内容)、報酬の額、支払期日などを、書面または電磁的方法で明示する |
| 報酬の支払期日 | 4条 | 給付を受領した日(役務の提供を受けた日)から起算して60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定める。検査の有無を問わない |
| 禁止行為 | 5条 | 1か月以上の業務委託では、責めに帰すべき事由がないのに報酬を減額すること、通常支払われる対価に比べて著しく低い報酬を不当に定めること、運営会社が指定する物や役務を強制的に購入・利用させることなどを禁止(役務提供委託では、受領拒否と返品の禁止の規定は適用されない) |
| 不当な利益提供・変更の禁止 | 5条2項 | 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること、責めに帰すべき事由がないのに給付の内容を変更させたり、やり直しをさせたりすることを禁止 |
| 解除等の予告 | 16条 | 6か月以上の継続的な業務委託の契約を解除する場合(更新しない場合を含む)は、少なくとも30日前までに予告する。占い師が請求すれば、解除の理由を開示する |
3条の明示は業務委託事業者全般が対象で、4条・5条・16条は、従業員を使用する、または2人以上の役員がある法人である特定業務委託事業者が対象です。5条の対象となる業務委託の期間は1か月、16条の対象となる継続的業務委託の期間は6か月です(施行令1条・3条)。契約の更新により、その期間以上継続するものも含まれます。
これらの義務は、運営会社に課されるもので、契約書に書かれていなくても適用されます。占い師の側からは、契約書の内容がこれらに反していないかを確認する手がかりになります。たとえば、報酬の支払が「鑑定の翌々月末払い」であれば、鑑定の提供を受けた日から60日以内に収まるかを、月の締め日と支払日から数えて確認します。報酬から「ペナルティ」「罰金」の名目で一方的に控除する定めは、占い師の責めに帰すべき事由がないのに報酬を減額するものであれば、5条1項2号の問題になります。
委託する側の資本金の額などによっては、2026年1月1日に下請法から名称が変わった中小受託取引適正化法(取適法)の対象にもなり得ます。対象になるかどうかは、委託事業者と受託事業者の資本金や従業員の数などの要件で決まります。占い師が個人で、運営会社の資本金が一定の額を超える場合には、フリーランス法に加えて取適法の規律も確認します。
報酬率と精算:歩合の計算は「何から何を引くか」で決まる
報酬の歩合率が同じでも、母数が何かによって手取りが大きく変わります。お客様が支払った金額(決済手数料込み)か、決済手数料と運営会社の経費を引いた後か、通話料やシステム利用料を引いた後か。契約書の「売上の〇%」の売上が何を指すのかを、定義の条項で確認します。
- 課金の単位:通話時間に応じた課金の場合、接続の切断、通話が始まらなかった場合、お客様が支払わなかった場合の扱いを確認します。未払いのリスクを占い師に負わせる条項は、報酬の計算に影響します。
- 返金・取消しの扱い:お客様からの返金の請求があったとき、すでに支払った報酬を戻入(差し引き)するのか、その条件と上限、通知の方法を確認します。運営会社の判断だけで戻入できる書き方は、5条1項2号との関係で問題になり得ます。
- 精算の明細:報酬の計算の根拠(鑑定ごとの時間、料金、控除額)を示す明細を、占い師が確認できる仕組みがあるかを確認します。明細がないと、計算の誤りに気づけません。
- 支払の期日と方法:支払の日、振込手数料の負担、最低支払額の定め(一定額に満たないと翌月に繰り越す、など)を確認します。
待機・ノルマ・ペナルティ:働き方の拘束と「労働者性」
電話占いのサイトでは、占い師が一定の時間帯に待機してログインしていることが求められることがあります。待機の時間は報酬の対象にならず、鑑定を受けた時間だけが報酬の対象になる契約も多く見られます。ここに、最低待機時間、鑑定数のノルマ、未達成のときのペナルティが加わると、独立した事業者というより、運営会社の指揮命令の下で働いているように見えてきます。
労働基準法9条は、労働者を、「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義します。業務委託の名目で契約していても、実態が使用されて賃金を受ける関係であれば、労働者にあたり得ます。契約書の題名ではなく、実態で判断されます。判断の要素としては、仕事の依頼や業務の指示に対して諾否の自由があるか、業務の内容や遂行の方法について具体的な指揮監督を受けているか、勤務場所や時間が拘束されているか、報酬が労働の対価としての性格を持つか、他人に代わってもらうことができるか、などが一般に挙げられます。
待機・ノルマの定めを読むときの視点
| 定め | 独立した事業者に近い形 | 拘束が強い形 |
|---|---|---|
| 待機 | 待機する時間帯を、占い師が自分で選び、事前に登録する | 運営会社が時間帯を指定し、変更に承諾が必要 |
| ノルマ | 目標の共有にとどまり、未達成でも不利益がない | 未達成の場合に、報酬の減額、ランクの降格、契約の解除がある |
| 欠勤・遅刻 | 連絡があれば、調整できる | 遅刻・欠勤のたびに罰金や減額がある |
| 鑑定の進め方 | 鑑定の方法は占い師の裁量。ガイドラインは最低限の禁止事項にとどまる | 話し方、時間配分、言葉遣いまで細かく指示され、従わないと不利益 |
労働者に当たるかどうかは、右側の要素が複数重なるかどうかなど、全体を見て判断されます。契約書の題名や、「業務委託」と書いてあることだけでは決まりません。
占い師の側から見れば、拘束の程度が強い契約ほど、独立した事業者としての自由が小さく、同時に、運営会社の側から見れば、実態が雇用に近い関係であるにもかかわらず、業務委託として扱うことのリスクが大きくなります。契約書を作る側は、待機やノルマを「義務」ではなく「推奨」にとどめ、時間帯や鑑定の方法を占い師の裁量に残す設計にするのが基本です。
専属・兼業の制限、お客様との直接連絡の禁止、引き抜きの禁止
所属先は、自社のサイトで育てた占い師が他社に移ったり、お客様を連れて独立したりすることを心配します。そのため、契約書には、専属条項、兼業の制限、直接連絡の禁止、引き抜きの禁止といった条項が置かれることがあります。
制限条項の種類と、読むときの視点
| 条項 | 内容の例 | 読むときの視点 |
|---|---|---|
| 専属 | 契約期間中は、他の電話占いサイトで鑑定しない | 制限される範囲(同種のサービスか、すべての鑑定か)と、その代償(報酬の保証など)があるか |
| 直接連絡の禁止 | サイトで知り合ったお客様と、サイト外で連絡・取引をしない | 禁止の目的は、運営会社の売上の保護。お客様から連絡があった場合の扱い、違反したときの違約金の額 |
| 引き抜き禁止 | 他の占い師に、移籍を勧誘しない | 勧誘の範囲、期間、違約金の有無 |
| 退所後の制限 | 退所後一定期間、同種の鑑定をしない、同じ名前で鑑定しない | 期間、地域、範囲の合理性。過度に長く広い制限は、民法90条(公序良俗)に反するおそれがある |
制限が合理的かどうかは、制限の目的、期間、範囲、代償の有無、制限される側の不利益の大きさなどを総合して判断されます。長い期間で、鑑定そのものを禁止する制限は、職業を選ぶ自由を過度に制約するため、有効とされにくくなります。
制限条項を結ぶ運営会社の側にとっては、制限を課す目的を契約書に書くことが、合理性の説明に役立ちます。お客様との直接連絡の禁止なら、サイトを通じて得た顧客情報の保護、売上の確保という目的を示します。そのうえで、制限の期間を短く、範囲を狭くし、代償(たとえば、専属の期間中の報酬の保証、退所後の制限期間中の一定の支払)を用意する設計にすると、有効性が安定します。
占い師名・プロフィール・口コミの帰属
占い師は、本名ではなく、占い師名(ビジネスネーム)で活動することが多く、その名前に評判が付きます。運営会社のサイトで築いたプロフィール、写真、ブログ、口コミ、お客様のリピートは、占い師の財産でもあり、運営会社の資産でもあります。契約書にこれらの帰属が書かれていなければ、退所の場面で争いになります。
- 占い師名の使用:占い師が自分で付けた名前なのか、運営会社が付けた名前なのか。退所後も、占い師が同じ名前を使えるのか。運営会社が付けた名前で、商標登録をしている場合は、使用の許諾の範囲を確認します。
- プロフィールの文章・写真:占い師が書いた文章や撮影された写真の著作権は、原則として作った人にあります。運営会社が自由に使えるのか、サイトでの掲載に限るのか、退所後は削除されるのかを確認します。
- 口コミ・評価:口コミは、お客様が運営会社のサイトに書いたもので、サイトの外へ移すことはできないのが通常です。退所後に、口コミを持ち出せない前提で、契約の条件を判断します。
- 鑑定の記録・お客様の情報:お客様との鑑定のやり取りの記録は、運営会社が管理することが多く、占い師は、退所後にアクセスできなくなります。個人情報の取扱いと守秘の義務は、退所後も続きます。
契約の終了と、退所後の扱い
契約を終わらせる場面の定めは、入口では見過ごされがちですが、実際の争いは、ここで生じます。運営会社の側が契約を解除する場合は、フリーランス法16条により、6か月以上の継続的な業務委託であれば、少なくとも30日前までの予告が必要で、占い師は、その理由の開示を求めることができます(16条2項)。これに反して、突然の登録の停止や、アカウントの凍結で契約を終了する運用は、問題になる可能性があります。
契約書を受け取ったとき、占い師の側が確認する問い
- 報酬の「売上」とは何を指しますか。決済手数料や運営会社の経費は引かれますか。手取りの計算のもとになる定義です。曖昧なら、書面で確認します。
- 待機や稼働の時間は、義務ですか、希望ですか。守らなかったとき、何が起きますか。拘束の程度と、ペナルティの有無を確認します。報酬の減額や契約の解除に結び付くかが重要です。
- 専属や直接連絡の禁止は、いつまで続きますか。違反したときの違約金はいくらですか。契約期間中だけか、退所後も続くかで、負担が大きく変わります。
- 占い師名、プロフィール、口コミは、退所後どうなりますか。持ち出せるものと、できないものを区別します。
- 運営会社が契約を解除する場合、事前の予告はありますか。理由は示されますか。フリーランス法の予告義務(30日前)と、理由の開示の請求に合っているかを確認します。
- 報酬の支払日は、いつですか。鑑定から60日以内に支払われますか。支払期日の上限(4条)に収まっているかを確認します。
契約書の条項が、フリーランス法の規定に反している場合でも、契約書にあるからといって、有効とは限りません。疑問があれば、運営会社に説明を求め、書面で回答を受けることが大切です。
運営会社の側が、占い師との契約書を整えるときの視点は、占い師が確認する視点の裏返しです。報酬の定義、拘束の程度、制限の合理性、名義と記録の帰属、終了の予告を、占い師にも分かる言葉で明確に書くことが、後のトラブルを防ぎ、占い師の信頼を得ることにつながります。
所属契約を結ぶ前の点検
- 取引条件(鑑定の内容、報酬の額、支払期日)が、書面または電磁的方法で明示されている
- 報酬の計算の定義(売上、控除項目、精算の明細)を理解している
- 待機・ノルマ・ペナルティの定めが、報酬や契約の解除にどう結び付くかを確認した
- 専属・直接連絡の禁止・退所後の制限の期間と範囲を確認した
- 占い師名、プロフィール、口コミの帰属と、退所後の扱いを確認した
- 運営会社が契約を解除する場合の予告と理由の開示を確認した
占い師自身が事業者として鑑定を提供する場合の規約はオンライン鑑定の利用規約、開業の全体像は占い師の開業の始め方を、あわせて確認してください。依存や危機の場面の対応は依存と精神的な危機への対応で扱っています。
よくあるご質問
電話占いのサイトに登録して鑑定する場合、占い師は労働者になりますか?
名目ではなく、実態で判断されます。仕事の依頼への諾否の自由、業務の遂行方法への指揮監督、勤務の場所や時間の拘束、報酬の性格などを総合して判断されます。待機やノルマが強く拘束され、守らないと不利益を受ける形が重なるほど、労働者に近づきます。
フリーランス法は、占い師にも適用されますか?
従業員を使用しない個人(または一人だけの代表者の法人)が、事業者から業務の委託を受ける場合は、特定受託事業者にあたり、委託する側には取引条件の明示義務が課されます。委託する側が従業員を使用する、または2人以上の役員がある法人(特定業務委託事業者)であれば、さらに60日以内の報酬の支払、禁止行為の規制、継続的業務委託の解除の予告なども適用されます。
報酬から「ペナルティ」を引かれることがありますか?
契約書にペナルティの定めがあり、占い師の責めに帰すべき事由がないのに報酬を減額するものであれば、フリーランス法5条1項2号の問題になり得ます。1か月以上の業務委託が対象です。減額の理由、計算方法、上限を契約書で確認します。
退所した後に、同じ占い師名を使えますか?
契約書に定めがなければ、争いになります。名前を誰が付けたか、商標登録があるか、契約書の使用の許諾の範囲を確認します。退所後に使えない場合に備えて、名前の使用についての条項を、契約の時点で交渉しておくのが安全です。
専属契約を結ぶと、他のサイトの鑑定は一切できませんか?
契約書の専属条項の範囲によります。契約期間中、同種のサービスだけを制限するのか、すべての鑑定を制限するのかを確認します。制限が過度に広い、長い、代償がない場合は、民法90条(公序良俗)に反するとして、有効性が争われる場合もあります。
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