このページの要点
- 出展料は、確定の時期と、返還されない場面の範囲を確認する。催事ごとの覚書の中止時の欄を空欄にしない。
- 売上の精算は、引く項目、引く順番、母数、精算書への異議の期間を定義する。控除の掛け方で手取りが変わる。
- 会場で出会ったお客様の連絡先と直接取引の禁止は、対象、期間、違約金の根拠を絞る。その場の継続契約は訪問販売の問題に注意する。
- 出張鑑定は、出張費と追加料金の事前の承諾、キャンセル時の実費、安全上の中止、場所の許可、所属先の契約、依頼元が企業のときの条件の明示を決める。
最初に結論:出展と出張は「場所」「売上」「お客様」の3つに分けて契約を読む
占い師が自分の店を持たずに活動する入り口は、占いフェア、マルシェの一角、商業施設の催事、占い館のブース、出向く出張鑑定です。鑑定の中身は同じでも、契約の相手と金銭の流れが違います。出展規約は画一的な書式が多く、リピートで成り立つ占いの特徴までは考えられていないことがあります。占い館や電話占いに継続して所属する契約は、電話占い・占い館に所属する占い師の契約で扱っています。このページは、日や期間を区切った出展と、都度の出張鑑定が中心です。
出展・出張の契約の型と、先に読む条項
| 型 | 契約の相手 | 売上の流れ | 先に読む条項 |
|---|---|---|---|
| 場所貸し型(レンタルブース、フェアの区画) | 場所の運営者または主催者 | 占い師がお客様から直接受け取る。場所代だけ払う | 出展料と中止、撮影・物販の制限、原状回復、時間超過の違約金 |
| 出演・委託型(主催者が集客と受付を行う) | 主催者または運営会社 | 主催者が受け取り、手数料などを引いて占い師に払う | 控除の順番、精算書、支払日、返金時の戻し、お客様の連絡先 |
| 自分で受ける出張型(企業・個人・ホテルなど) | 依頼したお客様または企業 | 占い師が直接受け取る | 出張費、追加料金、キャンセル時の実費、出向かない判断 |
出展料はいつ確定し、中止になったら戻るのか
出展料は、申込みをした時点ではなく、催事ごとの条件を書いた書面(以下「個別の覚書」)が成立した時点で確定すると書かれていることがよくあります。確定すると、出展しなかった場合も、売上が出なかった場合も、返還されない扱いになります。確認するのは、確定の時期と、返還されない場面の範囲です。
出展者の都合で出ないときに返さないのは自然ですが、よく見られる書き方は、これを「理由のいかんを問わず」と広げ、会場側の判断による中止や立入制限まで返さないと読めるものです。民法には、当事者双方の責めに帰することができない事由で債務を履行できなくなったとき、債権者は反対給付の履行を拒むことができるという定めがあります(民法536条1項)。債権者の責めに帰すべき事由のときは拒めません(同条2項)。契約書で別の定めを置くことはでき、事業者どうしの契約に消費者契約法は使えませんが、極端に偏った定めは公序良俗に反するとして争われる余地があります(民法90条)。
催事の中止・変更と、出展料の扱いの考え方(定める例)
| 場面 | 出展料の扱いの例 | 確認すること |
|---|---|---|
| 主催者が中止を決めた(集客不足、運営の都合) | 全額を返還する。または、すでに生じた実費だけを引いて返還する | 「実費」の範囲と、証拠書類の提示 |
| 会場や管理者の判断で中止・立入制限となった | 返還の割合を定める。準備に使われた費用を引く例もある | 予告の有無と、免責の広さ |
| 天災・荒天などで開催が困難になった | 前日、当日の別に、返還の有無と割合を定める | 中止の基準、判断する人、連絡の方法 |
| 出展者の都合で出られなくなった | 取消しが遅いほど負担が増える段階を設ける。急病の扱いを書く | 取消しの連絡が届いた日を基準にするか |
割合や日数は、催事の規模と準備にかかった費用に合わせて決め、「何に見合う費用か」を説明できるようにします。
基本契約と個別の覚書の二層で、不利に働きやすい3つの型
継続して催事に出る出展者向けには、全体のルールを定めた基本契約を結び、催事ごとの日時・場所・出展料・中止の扱いを個別の覚書に書く二層の作りが多く見られます。次の3つが重なると、出展者に不利に働きます。
- 費用の確定が早い:支払義務を覚書の成立時に確定させ、出たかどうか、売上が出たかどうかを問わない。
- 覚書がなくても成立する:主催者が参加を承諾し出展者が応じた事実があれば、基本契約と主催者の提示条件で権利義務が成立したものとみなす。
- やめても出展義務が残る:基本契約を解約しても、成立済みの覚書の催事には出なければならず、正当な理由なく出ないと重大な債務不履行とみなされる。
覚書の書式は、催事の名称・期間・場所、出展料と支払期日、売上の取扱い、中止時の扱い、出展者の取消し時の扱い、遵守事項、特記事項という並びが多いものです。ところが、中止時と取消し時の欄が空欄のまま署名に回ることがあります。基本契約が「主催者の判断による中止でも責任を負わない」「既に発生した支払義務は影響を受けない」と書いていると、空欄のままでは基本契約の免責だけが残ります。署名の前にこの2欄を埋めることが、出展者にできる最も効果の大きい確認です。
売上の精算:誰が現金を受け取り、何が、どの順番で引かれるのか
場所貸しの出展では、お客様から受け取った代金は占い師のものです。これに対して、主催者や運営会社が受付と決済を行う型では、主催者がまとめて受け取ってから、手数料や実費を引いた残りを占い師に払う流れになります。「何を引くか」だけでなく、「引く順番」と「何を母数にして割合を掛けるか」が手取りを左右します。次の計算例は仮の数字です。売上が30分3,000円の鑑定20件で総額60,000円(カード決済36,000円、現金24,000円)、主催者の手数料が売上の20%、カード決済の手数料が3%だったとします。
同じ売上でも、控除の掛け方で手取りが変わる計算例(仮の数字)
| 控除の定め方 | 計算 | 占い師の手取り |
|---|---|---|
| A:総額に手数料を掛け、決済手数料は別に引く | 60,000円×20%=12,000円。カード36,000円×3%=1,080円。60,000−12,000−1,080 | 46,920円 |
| B:決済手数料を引いた後の金額に手数料を掛ける | 60,000−1,080=58,920円。58,920×20%=11,784円。58,920−11,784 | 47,136円 |
| C:決済手数料は主催者が負担し、総額に手数料だけを掛ける | 60,000円×20%=12,000円。60,000−12,000 | 48,000円 |
AとBの差は216円、AとCの差は1,080円です。1回では小さな差でも、回数が重なると積み重なります。条文では「売上」「手数料」「実費」が何を指すかを定義します。
よく見られる書き方に、「その他催事運営上必要な実費」のように引く対象を広く書き、金額の根拠を示さないものがあります。直し方は、引く項目を列挙し、実費は事前の書面承諾と根拠資料を条件にすることです。手数料が二段階で引かれる型(主催者が売上の一定割合を引き、その残りから仲介する事業者がさらに管理手数料を引く)では、二段目を残額に掛けるのか総額に掛けるのかで、計算例と同じ差が出ます。
精算書について、「重大な誤りがない限り承認する」と書かれていることがあります。確認の時間も異議の期間もなければ、承認したものとして扱われかねません。受領後の一定日数以内に異議を述べられること、根拠資料を示してもらえることを入れます。お客様への返金の原因を、主催者の判断だけで決める書き方は不利です。
会場での振る舞い、事故、原状回復:規約によくある型
会場には、普段の自分の店と違うルールがあります。覚書や出展規約の遵守事項には、鑑定と関係しない定めも多く入り、守れなければ出展の停止や契約の解除につながります。申込みの前に読み、次の点を確かめます。
覚書・出展規約によく書かれる遵守事項と、占い師が確認する点
- 行動と接触:許可された場所以外に立ち入らない、許可のない同行者を連れて行かない、来場者に無断で声をかけない。客引きの禁止がブースの前のどこまで及ぶか
- 撮影・録音と発信:会場内の撮影・録音は許可がある場合を除き禁止か。会場で知り得た情報をSNSに出さない、「公認」「提携」と誤認される表現を使わない
- 鑑定内容の制限:病気の診断や治療の助言、投資の勧め、法律の判断の禁止。範囲が「疑いを持たれる内容」まで広がっていないか
- 服装・トラブル時の対応:服装の細かな指定。クレームが起きたとき、主催者の指示なく独断で謝罪や約束をしない、取材を無断で受けない
- 撤収:片付けの時刻、廃棄物の持ち帰り、時間超過の違約金
会場に掲げる料金表は、消費者に向けた価格として総額で表示します(消費税法63条)。延長や追加が別料金なら、その単位と額も書きます。告知は占い師の広告表示で整理しています。会場名やロゴの広告利用は、事前の書面の承諾が通例です。
会場で特に注意が必要なのは、その場で継続のコースや高額な物品を勧めて申込みを受ける場面です。営業所以外の場所での勧誘は、特定商取引法の訪問販売に当たるおそれがあり、当たる場合は書面の交付とクーリング・オフへの対応が必要です。ブースが「営業所等」に当たるかは会場の性格で検討が必要ですので、会場では鑑定のみを行い、継続の申込みは後日、書面とともに受ける運用にすると判断に悩む場面を減らせます(高額カウンセリングとクーリング・オフ)。不安を強く煽ってその場で勧めると、契約の取消しが問題になります(霊感商法と契約の取消し)。
事故・盗難・原状回復の規約に多い定め
共有ブースやレンタルスペースの規約では、会場側が「場所の提供のみを行い、鑑定の内容や結果には責任を負わない」、出展者が「自分の鑑定とブースの損害は自分で負う」とする形に分かれがちです。具体的には次の定めを見かけます。
- 持ち込み品・釣銭:お客様の財産を含む紛失・盗難・破損は、会場側が一切責任を負わない。釣銭は自己管理。
- 原状回復と退出報告:次の利用者が使える状態に戻す義務があり、退出時に指定箇所を撮影して送る手順まで定める規約がある。怠ると、清掃や廃棄の実費に加えて固定の違約金を課される。
- 時間超過・鍵:延長料金に加え、30分ごとの違約金を課す例。鍵の紛失時の交換費用に下限額を設ける例。
- 保険:賠償責任保険は「加入に努める」にとどまるが、未加入でも一切の損害は利用者が単独で負う、と続く。
見落としやすい点が2つあります。1つは保険で、「努める」と書かれていても、未加入の場合の全責任の定めとつながっているため、実質は加入が前提です。もう1つは違約金で、固定の違約金を課したうえで「損害賠償の予定ではない」として実損も別に請求できる、と書く型です。違約金は賠償額の予定と推定されます(民法420条3項)。推定を打ち消す書き方なので、どちらをどの範囲で請求されるのかを確認します。
占い師が自分の規約でお客様への責任を免除する場合は、お客様が消費者のとき、債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項は無効とされ(消費者契約法8条1項1号)、債務の履行に際して行った不法行為による責任の全部の免除も同様です(同項3号)。責任に上限を置く場合は、「当方、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失による場合を除き」と、上限を定めるその一文の中に書きます(同条3項)。この点は予約・キャンセル規定の作り方と共通です。
会場で出会ったお客様の連絡先と、次回の予約は誰のものか
占いはリピートで成り立つ仕事です。会場で出会ったお客様の連絡先と次の予約を、占い師と主催者のどちらが扱うかは、収入に直結します。情報を集める流れは、主催者の受付で集める場合と、ブースで占い師が直接受け取る場合の2つです(占い相談の個人情報と守秘義務)。本人から書面で直接個人情報を取得するときは、あらかじめ利用目的を明示する必要があります(個人情報保護法21条2項)。主催者が受付で集めた情報を占い師に渡すには、原則として本人の同意が要ります(同法27条1項)。受付の用紙に「出展者への提供に同意します」という欄があるかを、占い師側で確認します。
連絡先の帰属を、取得の経路で分ける書き方があります。出展者が自分の活動で独自に取得した情報は出展者のもの、会場側が広告や公式サイトで取得した情報は会場側のもの、とする分け方です。既存のお客様やSNS経由のお客様を、会場の集客で出会ったお客様と混同しません。ブースで撮った写真や動画は作った出展者のものとし、主催者が広告に使うには事前の承諾を要する、という整理も同じ考え方です。
契約書によく見られるのが、お客様と直接取引をしてはならないという禁止と、違反したときの違約金です。覚書の型では、禁止が「終了後も」期限なしに続き、連絡先の交換や個別の提案まで含み、問い合わせを受けたのに報告しなかったことまで違反とされる例があります。仲介型の規約では、出展者にもお客様にも直接取引を禁じ、勧誘を受けたら一定日数以内に運営者へ報告させ、違反には受け取った対価の数倍か高額の固定額のうち高いほうを違約金とし、超える損害は別に請求できるとする型も見られます。集客の対価を受け取る前にお客様を持っていかれる主催者にとって一定の禁止は合理的ですが、実際の損害と釣り合わない違約金は、公序良俗に反するとして一部が認められない可能性もあります(民法420条3項・90条)。広い禁止ほど、対象・期間・報告の3点が曖昧になります。
会場で出会ったお客様の連絡先と、直接のご依頼(出展者と主催者の双方に適用)
1出展者が自らの活動、以前からのお客様、自己のSNS等により取得した連絡先は出展者に、主催者が広告、公式サイト等により取得した情報は主催者に帰属する。双方は、取得した情報を相手方の同意なく第三者に提供せず、この契約が終了した後も同様とする。
2出展者は、主催者の集客により催事の会場で初めて出会ったお客様に対し、催事の終了後〇か月の間、主催者を通さずに料金を受け取って鑑定を行ってはならない。連絡先の交換及び通常のあいさつは、これを妨げない。
3出展者は、前項のお客様から主催者を通さない鑑定の依頼を受けたときは、〇日以内に主催者へ報告する。
4出展者が第2項に違反したときは、主催者が受け取るはずであった手数料に相当する額を支払う。主催者は、これを超える額を請求するときは、その根拠を書面で示す。
〇の部分は、催事の規模と手数料の額に合わせて決めます。「取得の経路で分ける」「対象・期間・報告を絞る」「違約金の根拠を示す」の3点が核心です。
出張鑑定:出張費、追加料金、キャンセル、出向かない判断、依頼元が企業のとき
出張費と追加料金は、算定の方法と事前の承諾まで書く
「出張費は、当方が別に定める基準による」「訪問地域により異なります」のような書き方では、お客様は申込みの前に額が分かりません。見積りも承諾の記録もないまま請求し、承諾していたかどうかで争いになる例もあります。算定の方法(距離か地域ごとの定額か)、駐車場代・高速道路料金・宿泊費の負担者を決め、事前に見積書を示して承諾を得た費用に限って負担してもらいます。上限額、精算の期限、領収書の提出まで決めておきます。
当日になって延長や追加の鑑定が増える場面も同じです。出張修理の仲介型の規約には、作業の途中で料金や内容が変わるときは、理由と変更後の料金を説明して明確な同意を得てから続け、同意がなければ追加の作業をしない、という型があります。占いでも、延長や追加は料金と時間を示し、その場でメッセージなどに承諾を残します。
キャンセルは、実費と鑑定料を分けて考える
鑑定料は空けていた時間による損害、出張のための実費(取り消せない交通機関や宿泊の予約)はすでに支払った金額が基準です。お客様の都合のキャンセルで、実際に生じた実費の負担を求めるのは、説明がつきやすい定めです。占い師の都合で中止するときに、お客様が手配した費用をどうするかも書くと公平です。お客様が消費者のときは、解除に伴う違約金のうち、平均的な損害の額を超える部分が無効です(消費者契約法9条1項1号)。レンタルスペースの規約では、当日は全額、前日は半額とし、連絡のない不使用は当日扱い、不可抗力で施設側が中止したときは徴収しない、という段階の型が多く見られます。組み立て方は予約・キャンセル規定の作り方で説明しています。
出向かない判断、場所の許可、所属先の契約
出張では、相手が酔っている、密室で一対一になる、撮影や録音を強く求められるなど、現地で危険や不安を感じる場面があります。「安全上の理由その他の合理的な理由により、鑑定を中止または中断することがある」旨と、そのときの料金の取扱いを書いておきます。
ホテルのラウンジ、カフェ、レンタルルームなどは、場所の規約で営業活動、物品の販売、撮影が事前の承諾制になっていることがあります。許可の確認を依頼者にしてもらう項目を、申込みの案内に入れておきます。お客様の自宅やホテルの客室でその場で継続の契約を勧めると訪問販売に当たるおそれがあるため、出張では鑑定のみを行い、継続のコースは別の機会に書面とともに案内する運用が考えられます。
占い館やサロンに所属している占い師が出張鑑定を受けるときは、所属先の契約を先に確認します。出張・訪問その他の施設外の業務は事前の書面による承諾なくしてはならない、と書くものがあります。依頼を受けてから禁止条項に気づくと、お客様との約束と所属先の契約のどちらかを破ることになります。
依頼元が企業・主催者のとき:条件の明示、追加業務、継続契約
企業が従業員向けのイベントなどで占い師を呼ぶ形では、占い師が従業員を使用しない個人であれば、フリーランス法の「特定受託事業者」にあたります(同法2条1項)。企業がその事業のために役務の提供を委託する形であれば、企業は給付の内容、報酬の額、支払期日などを、書面または電磁的方法で直ちに明示しなければなりません(同法3条)。企業が従業員を使用している、または二以上の役員がある法人であれば、報酬の支払期日は役務の提供を受けた日から60日以内です(同法4条)。次の事項は書面やメッセージで確認します。
- 鑑定の時間、人数、1人あたりの時間、延長の扱い
- 報酬の額と、出張費の扱い(報酬に含むのか、別に払われるのか)
- 支払期日と、振込手数料の負担
- 企業が催しを中止または縮小した場合の報酬(全額か、一部か、実費のみか)
よくある失敗と直し方、条文例
よくある失敗と直し方
出展・出張の契約書で、よく見られる書き方と、直し方
契約の優先順位
基本契約が優先すると書かれていても「覚書に特段の定めがない限り」の但書があれば覚書が勝つ。但書がなければ、覚書に中止時の返還を書いても基本契約が勝つおそれがある。
年間登録料と自動更新
登録しても出られる保証はなく、更新を知らないまま期限が過ぎることが多いため。
違約金と実損の二重取り
違約金は賠償額の予定と推定されます(民法420条3項)。予定ではないと重ねて書くと、合計の金額が見えなくなる。
書き換え例は、説明のために新しく書き起こしたものです。
条文例
以下は、占い師が催事に出展する場合を想定して、新たに書き起こした条文例です(連絡先と直接取引の条文例は前の節にあります)。
出展の取消しと中止(出展者と主催者の双方に適用)
1出展者は、催事の開催日の〇日前までに書面(電磁的方法を含む。)で通知することにより、出展を取り消すことができる。この通知は、主催者に到達した日をもって取消しの日とする。
2出展者が前項の期限を過ぎて出展を取り消した場合は、次の区分に応じた額を、取消料として支払う。(1) 開催日の〇日前から前日まで 出展料の〇割 (2) 開催日の当日および無断で出展しなかった場合 出展料の全額
3主催者の都合により催事を中止した場合、または会場の管理者の判断により催事の全部若しくは一部が実施されなかった場合は、主催者は、すでに生じた実費(その内訳と根拠を示すものに限る。)を除き、受領した出展料を返還する。
4天災その他の当事者の責めに帰することができない事由により催事を開催できなかった場合の出展料の扱いは、次のとおりとする。(1) 開催日の前日までに中止を決めたとき 〇割を返還する (2) 開催当日に中止を決めたとき 〇割を返還する
〇の部分は、催事の準備にかかる費用と日数に合わせて決めます。「中止の原因ごとに分ける」「実費の範囲を示す」の2点が核心です。
売上の精算と控除(主催者が代金を受け取る型)
1本条において「売上」とは、催事の会場でお客様が鑑定の対価として支払った金額(消費税を含む。お客様に返金した金額を除く。)をいい、「手数料」とは、売上の総額に〇%を乗じた額をいう。
2主催者は、売上から、次の各号に掲げるものに限り、この順序で控除する。(1) 手数料 (2) 決済事業者に支払う決済手数料のうち、カード決済に係る分 (3) 出展者が事前に書面(電磁的方法を含む。)で承諾した実費
3主催者は、催事の終了後〇日以内に、売上、控除した項目と金額、実費の根拠資料を記載した精算書を出展者に交付し、控除後の残額を精算書の交付の日から〇日以内に出展者の指定する口座へ振り込む。
4出展者は、精算書を受領した日から〇日以内に、書面又は電子メールで異議を述べることができる。主催者は、異議を受けたときは、根拠資料を示して回答する。異議の期間内は、精算書の内容を承認したものとはみなさない。
〇の部分は、催事の規模に合わせて決めます。控除の「順序」と「異議の期間」を書くことが核心です。
出張鑑定の申込みの特約(お客様向け)
1出張費は、別紙の料金表に定める額とする。当方は、申込みの前に、出張費、駐車場料金、高速道路料金その他の実費の見積りを書面(電磁的方法を含む。)で示し、お客様の承諾を得るものとする。見積りの額を超える費用が見込まれる場合は、事前に連絡して承諾を得る。
2鑑定の時間の延長又は追加の鑑定を行う場合は、当方は、その料金と時間を示し、お客様の承諾を書面(電磁的方法を含む。)で得たうえで行う。承諾のない延長又は追加の料金は、請求しない。
3お客様の都合により鑑定の日時を変更し、または取り消す場合は、当日の〇時間前までに通知するものとし、次の区分に応じた額を支払う。(1) 前日まで 鑑定料の〇割 (2) 当日および無断の場合 鑑定料の〇割。ただし、当方が出張のためにすでに支払い、取り消すことができない費用がある場合は、その実費(領収書等によりお示しする。)を併せて負担していただく。
4当方は、お客様または同席者の言動により、安全の確保が困難であると合理的に判断した場合は、鑑定を中止し、または中断することがある。この場合、すでに実施した部分の鑑定料および出張費はお支払いいただく。
賠償の上限を置く場合は、上限を定めるその一文の中に「故意又は重大な過失による場合を除き」と書きます(消費者契約法8条3項)。お客様が企業のときは、割合を取引に合わせて見直します。
ヒヤリングで確認すること、出展と出張で起きがちなこと
ヒヤリングで確認すること
出展・出張の契約を整える前の問い
- 出展する催事は、主催者が集客と受付を行いますか。それとも、場所だけ借りますか。売上が誰を通るかで、精算と控除の条項が必要かどうかが決まります。場所貸しなら、場所代と時間の条項が中心です。
- 出展料はいつ払い、どの時点で確定しますか。中止になったとき、戻る約束はありますか。「理由のいかんを問わず返還しない」と書かれている場合、主催者の中止に備えた交渉が必要になります。
- 基本契約と催事ごとの覚書の二層ですか。覚書の中止時・取消し時の欄は埋まっていますか。空欄が残ると、基本契約の免責と「支払義務は確定済み」の定めだけが残ります。
- 年間の登録料や会費はありますか。自動更新を止める期限はいつですか。登録しても出られる催事の範囲が決まっていないと、料金に見合うか判断できず、止め忘れの更新も多い点です。
- 会場でその場で継続のコースや高額な鑑定を勧める予定はありますか。営業所以外の場所での契約は、訪問販売に当たるおそれがあります。運用を先に決めます。
- お客様の連絡先は、誰が集めますか。占い師が直接受け取ったお客様と、主催者が集めたお客様を分けられますか。個人情報の取得と提供の同意を整理し、直接取引の禁止の対象を絞るために必要です。
- 賠償責任保険に入っていますか。会場の規約は、加入を求めていますか。加入が「推奨」でも、未加入なら全責任と続く規約があります。入っていないなら、申込みの前に補償の範囲を決めます。
- 出張鑑定の行き先は、企業、ホテルやカフェ、個人の自宅のどれが多いですか。出張費と延長の料金は、事前に示して承諾を残していますか。訪問販売の検討、場所の許可、企業の場合の条件の明示が、場所ごとに変わります。「別に定める」では申込みの前に額が分かりません。
- 今、占い館やサロンに所属していますか。所属先の契約は、施設外の仕事を認めていますか。施設外の業務を禁じる定めがあると、出張の依頼を受けた時点で所属先の契約に反します。
出展と出張で起きがちなこと
よくあるご質問
占いイベントの出展料は、中止になっても戻らないのですか。
戻るかどうかは、契約書や規約、催事ごとの覚書に何が書かれているかで決まります。「理由のいかんを問わず返還しない」と書かれていても、主催者の中止や会場側の事情まで含めてよいかは別の問題です。当事者双方の責めに帰することができない事由で履行できないときは、出展料の支払いを拒める場面があります(民法536条1項)。覚書の中止時の欄が空欄のままだと基本契約の免責だけが残るため、署名の前に、中止の原因ごとの返還の扱いを書面で確認してください。
売上の手数料は、総額に掛けるのと、決済手数料を引いた後に掛けるのとで、どれくらい違いますか。
このページの計算例(仮の数字)では、総額60,000円、手数料20%、カード決済36,000円に対する決済手数料3%で、総額に掛ける方式の手取りは46,920円、決済手数料を引いた後に掛ける方式は47,136円、決済手数料を主催者が負担する方式は48,000円でした。契約書では、売上、手数料、実費の意味と、引く順番、精算書への異議の期間を定義します。
イベント会場で、その場で継続のコースを申し込んでもらってもよいですか。
営業所以外の場所で勧誘して契約を結ぶ形は、特定商取引法の訪問販売に当たるおそれがあり、当たる場合は書面の交付とクーリング・オフへの対応が必要です。会場のブースが「営業所等」に当たるかは会場の性格などで検討が必要ですので、会場では鑑定のみを行い、継続の申込みは後日、書面とともに案内する運用が考えられます。
出張鑑定で、出張費や延長の料金はどう決めるのがよいですか。
出張費は算定の方法(距離、地域の定額、公共交通機関の実費など)を決め、申込みの前に見積書を示して承諾を得た費用に限って負担してもらいます。当日の延長や追加の鑑定も、料金と時間を示してその場で承諾を残します。キャンセルは、鑑定料と、取り消せない実費を分けて考え、お客様が消費者の場合の違約金は、平均的な損害の額を超える部分が無効です(消費者契約法9条1項1号)。
会場で知り合ったお客様と、そのあとで直接やり取りしてはいけませんか。
主催者の規約で、直接取引が禁止されていることがあります。禁止の対象となるお客様、期間、報告の義務、違約金の額の根拠を確認してください。違約金は賠償額の予定と推定されますが(民法420条3項)、あまりに過大な額は公序良俗の観点から争われる余地があります(民法90条)。連絡先を集めるときは、利用目的の明示や、主催者が集めた情報を受け取るときの本人の同意(個人情報保護法21条2項・27条1項)にも注意が必要です。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の事業への当てはめは、提供する内容、料金の受け取り方、勧誘の方法、お客様が事業者か個人かなどによって異なります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 消費者契約法(消費者庁) / 景品表示法(消費者庁) / 国民生活センター