このページの要点
- トラブルはカード会社、消費生活センター、直接の返金請求の3経路で起き、窓口と回答は一本化する。
- 「当たらなかった」だけでは返金の理由になりにくいが、断定的な勧誘や未提供の部分は別に扱われる。
- 申込み画面、同意、決済、提供の記録を、通知が来る前から残しておく。
- 「支払義務を免れない」「異議申立てに違約金」などの条項は、役に立たないか無効とされるおそれがある。
最初に結論:決済トラブルは「3つの経路」に分けて考える
鑑定や相談の料金は、クレジットカードや決済サービスで前払いを受けることが多く、サービスの出来を数値で示しにくい性質があります。そのため「当たらなかった」「思っていたのと違った」という不満が、返金請求や、カード会社への異議申立て、消費生活センターへの相談という形で表に出ることがあります。運営者の側から見れば、通知は突然届きます。しかも、回答や資料の提出には期限が付くのが通常です。
実務では、こうした通知が来てから規約を読み直し、記録を探し始める例が少なくありません。しかし、通知が来た時点で、勝負の大半はすでに決まっています。申込みの画面でどこまで条件を見せたか、提供した日時や内容の記録が残っているか、返金の算定方法が規約に書いてあるか。この3点は、通知が来てからは作り直せないからです。
このページでは、占い・鑑定・リーディングの運営者を前提に、次の順で整理します。まず3つの経路の違い、次に「当たらなかった」という不満が法的にどう扱われるか、そして事前に残しておく記録、消費生活センターから連絡が来たときの動き、規約の誤りと直し方、確認すべき事項、条文例です。個別の表示や勧誘の論点は、占い師の広告表示と霊感商法と契約の取消しに詳しくまとめています。
チャージバックとは何か:誰と誰の間の手続なのか
チャージバックは、一般に、お客様がカード会社に対して請求内容に異議を申し立て、カード会社が加盟店(決済を受ける運営者)側に取引内容の確認や代金の取消しを求める一連の手続を指して使われる言葉です。法律上の用語ではなく、手続の詳しい流れ、回答の期限、提出する資料の種類は、決済代行会社やカード会社との間の加盟店規約によって決まります。このため、具体的な期限や手順は、ご自身が利用している決済サービスの規約で確認する必要があります。
ここで押さえておきたいのは、この手続の当事者です。お客様とカード会社の間、カード会社と決済代行会社の間、決済代行会社と運営者の間にそれぞれ別の契約があり、運営者とお客様の間の利用規約は、そのうちの1本にすぎません。利用規約に「カード会社への異議申立てをしない」と書いたとしても、その規約はカード会社を縛りません。お客様が実際に異議を出せば、手続は進みます。規約の役割は、手続を止めることではなく、手続の中で運営者の主張を裏付ける材料になることです。
3つの経路の違い
| 経路 | 相手方 | 運営者に届くもの | 運営者の動き |
|---|---|---|---|
| カード会社への異議申立て | お客様の異議を受けたカード会社・決済代行会社 | 取引内容の確認や資料提出の求め、場合によっては代金の取消し | 申込み・同意・提供の記録を、決済事業者の指定する期限と方法で提出する |
| 消費生活センターへの相談 | お客様から相談を受けた自治体の相談窓口 | 相談内容の連絡と、事実関係や対応方針の問い合わせ | 事実を整理し、書面で回答する。助言や調整の場であり、強制力はない |
| 運営者への直接の返金請求 | お客様本人 | メール、DM、フォーム、電話での請求 | 規約の返金条項に沿って算定し、根拠を添えて回答する |
同じお客様が、直接の請求、消費生活センター、カード会社と、順に、あるいは同時に動くこともあります。回答の内容が経路ごとに食い違うと、後の場面で不利に働くため、窓口を一本にして記録を共有する体制が大切です。
消費生活センターへの相談は、地方公共団体が設ける窓口が、相談者に対して自主的な交渉のための助言を行い、必要に応じて事業者との間に入って調整(あっせん)をするものとして運営されています。あっせんには強制力がなく、行政指導の権限もないと説明している自治体の資料があります。つまり、連絡が来たこと自体が義務や責任を確定させるものではありません。他方で、センターは相談者の話を聞いたうえで連絡してくるため、運営者の側が事実を示す書面を出せるかどうかで、その後の展開は大きく変わります。全国共通の相談先として案内されているのが、消費者ホットライン188です。
「当たらなかった」という不満は、返金の理由になるのか
占い・鑑定は、法的には、一定の事務を行うことを引き受ける契約(準委任に近い契約)として整理されることが多く、鑑定を「行うこと」が提供する内容で、「当たること」は含まれないのが通常です。民法は、委任ではいつでも各当事者が解除できること(651条1項)、委任が履行の中途で終了したときは、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求できること(648条3項)を定めており、準委任にはこれらが準用されます(656条)。したがって、お客様が途中で終わりにしたいと言ったとき、運営者は、すでに提供した分の報酬は請求できる一方で、未提供の分まで当然に取れるとは限りません。
一方で、運営者が債務の本旨に従った履行をしないときは、お客様は損害の賠償を請求できます(民法415条1項)。「30分の鑑定のはずが10分で打ち切られた」「申込み時に説明した内容の鑑定が行われなかった」といった場合です。この場面では、「鑑定結果を保証しない」という規約の一文は、役に立ちません。保証しないと書くことで免れるのは、約束していない部分についての責任であって、約束した部分の不履行ではないからです。
もう一つの論点は、勧誘の場面の言葉です。「このままでは必ず不幸になる」「今契約しなければ状況は変わらない」といった告知は、内容によっては、消費者契約法による取消しの対象になり得ます。重要事項について事実と異なることを告げる行為(4条1項1号)、将来における変動が不確実な事項について断定的判断を提供する行為(同項2号)、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、重大な不利益を回避するためには契約が必要不可欠だと告げる行為(4条3項8号)が、典型的な類型です。この最後の類型の取消権は、追認できる時から3年、契約締結時から10年という長い期間が設けられています(7条1項)。取消しが認められれば、返金の範囲は規約の返金条項ではなく、取消しの効果で決まります。詳しい整理は霊感商法と契約の取消しのページにあります。
返金請求が来たときの最初の仕分け
請求の理由は、鑑定が提供されていない、または約束と違うという内容ですか。
はい債務不履行の問題として、提供の記録と、申込み時の約束の内容を突き合わせます。未提供の部分は返金の対象になる可能性が高い部分です。
いいえ「当たらなかった」「期待外れだった」という評価が中心なら、次の問いへ進みます。
申込みの前後の言葉の中に、結果の断定、不安をあおる表現、契約が必要だという告知はありませんでしたか。
はい取消しの主張に発展し得る場面です。やり取りの記録を、前後の文脈ごとに確認します。
いいえ勧誘に問題がなく、提供も行われていれば、規約の返金条項に沿った対応になります。
規約の返金条項は、申込み前に表示され、同意を取った形になっていますか。
はい返金の算定方法を示して、規約に沿って回答できます。
いいえ同意の記録がなければ、条項を根拠にする主張が弱くなります。民法548条の2の定型約款として契約の内容になっていたかが争点になります。
請求者は、本人名義のカードで本人が申し込んだ方ですか。
はい通常の返金請求として扱います。
いいえ「身に覚えがない」という不正利用の申告なら、別の手続になります。決済事業者の指示に従い、本人確認の記録を提出します。
仕分けの順番は、「提供したか」「勧誘に問題はないか」「規約を契約の内容にできているか」「本人の取引か」です。この順に確認すると、回答の方針が早く定まります。
通知が来る前の記録と、消費生活センターから連絡が来たときの動き方
通知が来る前に残しておく記録
占いの提供は、対面でも通話でも、チャットでも、形が残りにくいサービスです。残っているのは、申込みの記録、決済の記録、やり取りのメッセージ、予約の日時くらいという場合も多くあります。決済に関する照会が来たときに運営者が出せる資料は、事前に何を残す運用にしていたかで決まります。
申込みから照会までに残しておきたい記録
- 申込みの時点申込み画面の内容(価格、回数、支払時期、キャンセルの条件の表示)と、そのスクリーンショットまたは画面の版の履歴。規約への同意の操作の記録(日時、同意した規約の版)。
- 決済の時点決済の日時、金額、決済手段、決済代行会社の取引番号。本人名義のカードを使う旨の確認の記録。
- 入金後の通知申込みの承諾や、内容を確認できる通知を送った記録(送信の日時と内容)。
- 提供の時点鑑定を行った日時、所要時間、方式(通話、ビデオ、チャット)、納品型なら送付した日時と文面。
- 提供後のやり取り感想、質問への回答、追加の依頼、返金や変更の相談のやり取り。誰がどの時点で何を言ったかが分かる形で。
- 苦情・請求を受けた時点請求の日時と内容、その後の回答の内容と日時。口頭でのやり取りは、直後にメモを作る。
記録は、保存期間と閲覧できる人を決めたうえで、まとめて管理します。後から作り直した記録は、証拠として弱くなります。
記録の保存は、お客様の個人情報の取扱いとも関わります。個人情報保護法は、利用目的をできる限り特定すること(17条)と、直接書面などで取得する場合に利用目的をあらかじめ明示すること(21条2項)を求めています。決済に関する照会や紛争への対応のために取引記録を保存する、という目的も、プライバシーポリシーに具体的に書いておくのが望ましい取扱いです。決済事業者に取引の記録を提供する場面でも、提供先と提供する内容を整理しておきます。第三者への提供に当たるかどうかの整理は、占い相談の個人情報と守秘義務で扱っています。相談の内容そのものは、決済事業者に提出する必要がない場合が多く、提出するのは提供の日時、方式、所要時間といった事実にとどめるのが無理のない考え方です。
消費生活センターから連絡が来たときの動き方
消費生活センターからの連絡は、電話であることも、書面であることもあります。内容は、相談があった旨の通知と、事実関係の確認、そして、お客様の希望(返金など)の伝達である場合が多いようです。ここで大切なのは、慌てて全額を返す、あるいは感情的に反論する、のどちらかに振れないことです。
連絡を受けてからの流れ(目安)
- 受けた当日相談員の氏名、窓口名、連絡先、お客様の氏名、回答の期限を控える。電話なら、その場で結論を出さず、書面で回答する旨を伝える。
- 数日以内申込み、決済、提供の記録を集め、時系列の表を作る。規約の該当条項を確認する。
- 回答の作成事実(いつ、何を、いくらで、どう提供したか)と、規約の根拠、運営者としての対応案(一部返金、全額返金、返金なしの理由)を、分けて書く。
- 回答後回答の控えを保存する。センターの助言を受けてお客様と合意した場合は、その内容を合意書やメールで残し、精算の日付と方法を明記する。
回答の期限は、センターの案内によります。期限内に出せないときは、その旨と見込みを先に伝えます。
回答の書き方にも注意点があります。事実の部分は、記録に基づいて淡々と書き、評価や相手方への非難は入れません。たとえば、「お客様の態度が悪かった」「悪質なクレーマーである」といった書き方は、事実の裏付けがなければ逆効果になります。返金を一部にとどめる場合も、規約の条項を示すだけで終わらせず、算定の計算式を添えて、なぜその金額になるのかを説明します。
また、センターを通じて合意に至った場合でも、その後にお客様がカード会社へ異議を申し立てると、同じ代金について二重の返金が起きるおそれがあります。合意をするときは、合意に基づく返金を行った場合は、その代金についてカード会社など他の経路による請求を行わない旨を、お客様の了解を得て書面に入れておきます。これは、お客様の権利を一方的に封じる趣旨ではなく、すでに精算した部分の二重取りを防ぐ趣旨で書くことが大切です。
よくある失敗と直し方:決済・返金まわりの条項
決済や返金に関する規約の条項には、実務でよく見られる書き方があり、その中には、いざという場面で役に立たない、あるいは無効とされるおそれのあるものがあります。次の表は、そうした条項の型と、直し方の一例です。
よく見られる誤りと書き換え
チャージバックがあっても支払義務は残るとする条項
「いかなる場合も免れない」と書くと、不正利用や、運営者の側の不履行の場面まで支払を求める趣旨に読めます。その場合は消費者契約法10条や民法548条の2第2項の問題になります。例外を明記して、請求できる場面を限ります。
支払の拒絶・減額を一切認めない条項
法令上認められる権利まで一律に封じる書き方は、消費者の権利を制限する条項として、消費者契約法10条で無効とされるおそれがあります。「法令で認められる場合を除く」と添えるだけでなく、運営者の不履行の場面を明示すると誤解が減ります。
決済後は理由を問わず返金しないとする条項
運営者の側の不履行まで返金しないと読める書き方は、消費者契約法8条1項1号の「責任の全部を免除する条項」に当たるおそれがあります。返金する場合と算定方法を、具体的に書いて示します。
チャージバックの申立て自体を、規約違反とする条項
契約を続けたまま違反に科す違約金の定めは、民法420条・90条や、消費者契約法10条の問題になります。異議申立ては、本来、お客様に認められた手段でもあります。禁止ではなく、先に運営者へ連絡してもらう運用上のお願いと、事実確認の手続に置き換えます。
請求があれば直ちに全額を返す運用を規約に書く条項
返金保証を設ける場合は、保証の対象と期間を限定して書きます。保証の範囲を限定しないと、鑑定を受けた後の請求にも全額返金の義務を負うことになります。
表の右側の書き換え例は、条項の考え方を示すために新しく書き起こしたものです。そのまま使うのではなく、サービスの内容に合わせて組み直してください。
これらの条項には、共通する性質があります。いずれも、運営者の側に有利に見える書き方ですが、実際に争いになったときに、運営者を守る力をほとんど持たない、あるいは、規約全体の信頼を損なう、という点です。「支払義務を免れない」と書いても、カード会社が取消しを決めれば、代金は戻ってきません。運営者が得られるのは、別の方法で請求する根拠だけです。その根拠も、請求できる範囲を限ってこそ、説得力を持ちます。
返金の算定の書き方にも、見直したい点があります。回数券や複数回のコースの途中で解約があったとき、提供済みの回数に何円を掛けて差し引くのかを書いていない規約は、運営者が一方的に決める形になりやすく、争いの種になります。算定の基準を、規約の中に数字と計算式で書いておくのが、お互いにとって安全です。次の節の計算例で確認します。
返金額の計算例と、決済・返金に関する条文例
返金額の計算例と、遅延損害金の上限
ここでは、回数券を例に、返金額の考え方を整理します。数字はあくまで説明用の例です。通常の1回の鑑定料が12,000円、5回の回数券が50,000円(1回あたり10,000円)で、2回を受けた後に、お客様から解約の申出があったとします。
回数券の途中解約の返金額(説明用の例)
| 精算の方法 | 計算 | 返金額 | 考え方 |
|---|---|---|---|
| 回数券の1回あたり単価で精算 | 50,000円 − 10,000円 × 2回 | 30,000円 | 購入時の単価で、受けた回数分だけを差し引く。説明しやすく、争いになりにくい |
| 通常料金で精算 | 50,000円 − 12,000円 × 2回 | 26,000円 | 割引分を取り戻す形。割引が一定期間内の使い切りを前提にしているなど、合理的な説明が必要 |
| 全額返金なし | 0円 | 0円 | 未提供の3回分まで返さない形。運営者の損害が実際にあるかが問われ、説明が難しい |
事前に何を基準にするかを、申込み画面と規約の両方に書いておくことが前提です。精算額に、事務手数料などの控除を入れる場合は、金額と理由を示します。
解除に伴う違約金やキャンセル料を定める場合は、消費者契約法9条1項1号により、同種の契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分が無効になります。この規定の対象は「解除に伴う」損害賠償の予定や違約金であり、契約を続けたまま違反に科す違約金は対象外で、民法420条・90条、消費者契約法10条で判断されます。
代金の支払が遅れた場合の遅延損害金にも、上限があります。消費者契約法9条1項2号は、支払期日の翌日からの日数に応じて、支払うべき額に年14.6パーセントの割合を乗じた額を超える部分を無効としています。たとえば、50,000円の支払が30日遅れた場合の上限の目安は、50,000円 × 14.6% × 30日 ÷ 365日 = 600円です。決済が失敗した後の再請求の場面で、これを超える遅延損害金を一律に定めている規約は、見直しの対象になります。
条文例:決済・返金・カード会社からの照会に関する条項
ここまでの整理を、規約の条文に落としたのが次の例です。サービスの内容や決済の仕組みに合わせて調整が必要ですが、条項の組み立て方の参考になります。
決済と返金に関する条項(例)
1利用者は、本サービスの対価を、当社が指定する方法により、申込み時に支払うものとする。クレジットカード等を使用する場合、利用者は、自己名義の決済手段を使用するものとする。
2本サービスの提供前に利用者の都合で申込みを取り消した場合、当社は、事務手数料として当社が定める額(○○円)を差し引いて、未提供部分の対価を返金する。回数券の途中で解約した場合は、受けた回数に、購入時の1回あたりの単価を乗じた額を差し引く。
3当社が約束した鑑定の全部又は一部を提供しなかった場合、当社は、未提供の部分に相当する対価を、請求を受けた日から14日以内に返金する。
4鑑定の結果が利用者の期待と異なったことのみを理由として、鑑定が提供された後に返金を求めることはできない。ただし、当社が結果を保証する旨を告げて契約を成立させた場合その他、法令に基づき利用者に認められる権利は、これにより妨げられない。
5利用者がカード会社その他の決済事業者に対して請求内容への異議を申し立てる場合、当社に先に連絡することを依頼する。ただし、この依頼は、利用者が決済事業者に対して有する権利の行使を妨げるものではない。
6決済事業者から取引内容の照会を受けた場合、当社は、申込み、同意、決済、提供の日時及び方式その他、照会に回答するために必要な範囲の記録を、決済事業者に提供することができる。相談の内容は、必要な場合を除き、提供しない。
7決済事業者により代金が取り消された場合、当社は、当該代金について、利用者に対し別の支払方法による支払を求めることができる。ただし、第三者による不正利用であることが確認された場合その他、利用者が支払義務を負わない場合は、この限りでない。
8当社、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失による場合を除き、当社が本サービスに関して利用者に対して負う損害賠償責任は、利用者が当社に支払った対価の額を上限とする。
第4項は「結果を保証する旨を告げた場合」を明示して、断定的な勧誘による取消しの余地を残しています。第8項は、上限を定める同じ一文の中に、故意又は重大な過失の場合を除く旨を書く形にしています(消費者契約法8条3項)。条文例は、説明のために新しく書き起こしたものです。
条文例のうち、第6項は、個人情報の面からも整理が必要です。決済事業者への情報の提供は、利用目的に書いてあるか、提供先との関係が委託に当たるかによって、取扱いが変わります。プライバシーポリシーの利用目的と、規約の条項を食い違わないように揃えます。申込み・同意の記録の取り方や、規約の同意を取る時期の設計は、オンライン鑑定の利用規約に必要な条項と、占い鑑定の予約・キャンセル規定の作り方とあわせて見直すと、整合が取りやすくなります。
ヒヤリングで確認すること
決済トラブルに備える規約や運用を整えるとき、最初に確認すべき事項は、条文よりも、実際の売り方と決済の流れです。確認の問いと、その理由を整理します。
決済と返金の設計のためのヒヤリング
- 代金は、どの決済手段で、いつ受け取りますか。カード、決済サービス、銀行振込、後払いのどれですか。決済事業者が間に入るかどうかで、照会の相手と回答の期限が変わります。銀行振込中心なら、カード会社経由の手続は生じません。
- 申込みの画面で、価格、回数、支払時期、キャンセルの条件を、ボタンの前に表示していますか。この表示が、後の「聞いていない」という主張に対する最初の備えです。表示の版を残しているかも確認します。
- 規約への同意は、申込みの前に、操作の記録が残る形で取っていますか。同意の記録がなければ、規約の返金条項を根拠にする主張が弱くなります。
- 鑑定の日時、方式、所要時間は、どこに記録されていますか。提供の事実を示す記録は、カード会社への回答でも、消費生活センターへの回答でも中心になります。
- 無料の体験や無料通話から、有料のコースを勧める流れはありますか。勧誘の場面の言葉が、取消しの主張の対象になりやすいためです。クーリング・オフの有無も、この流れで変わります(高額カウンセリング・コーチング契約とクーリング・オフ)。
- 開運グッズなどの物品を、鑑定の場で併せて売っていますか。物品の代金は、鑑定とは別に返品・返金の整理が必要です。決済が同じでも、返金の条件を混ぜないようにします(開運グッズ・パワーストーンの販売契約書)。
- 苦情や返金の請求を受けるのは誰で、どの窓口に集約していますか。複数の窓口で別々の回答をすると、内容が食い違い、後で不利になります。
分からない項目があるときは、運営の実態を先に書き出してから規約の文言を見直します。
決済トラブルへの備えの点検リスト
- 申込み画面の表示内容を、版ごとに保存している
- 規約の同意の記録(日時と版)が、申込みごとに残る
- 鑑定の日時・方式・所要時間を、その日のうちに記録している
- 返金の算定方法が、規約に数字と計算式で書いてある
- 「いかなる場合も返金しない」「支払拒絶を一切認めない」などの表現が残っていない
- チャージバックの申立てに違約金を定める条項がない
- 決済事業者の加盟店規約で、照会への回答期限と提出方法を確認している
- プライバシーポリシーの利用目的に、決済・紛争対応のための記録保存が書かれている
- 苦情・請求の窓口が一本化され、回答の控えを残す運用になっている
点検は、規約の改定のたびに行います。申込み画面と規約が食い違っていないかも、あわせて確認します。
不安の強いお客様への対応は、決済の面だけでなく、相談の進め方にも関わります。返金を強く求める背景に、依存や精神的な危機があると見られる場合の考え方は、占い相談の依存・精神的危機への対応で扱っています。
起きがちなこと
よくあるご質問
お客様がカード会社に異議を申し立てると、必ず代金を失いますか。
必ず失うとは限りません。カード会社や決済代行会社からの照会に対し、申込み、同意、提供の記録を期限内に提出できれば、運営者の主張が考慮されます。手続の詳細や期限は、決済事業者との契約によって決まります。
規約に「カード会社への異議申立てを禁止する」と書けば防げますか。
防げません。利用規約はお客様と運営者の契約で、カード会社を縛るものではありません。禁止と違約金を結び付ける条項は、消費者契約法10条などで問題になるおそれがあります。先に連絡してもらう依頼として書き、権利の行使は妨げない旨を添えます。
消費生活センターから連絡が来たら、必ず返金しなければなりませんか。
いいえ。センターは助言や、事業者との調整(あっせん)を行う窓口で、あっせんに強制力がないと説明する自治体の資料があります。ただし、事実を示す書面で回答することが大切で、提供した事実と規約の根拠、対応案を分けて伝えます。
「当たらなかった」ことを理由とする返金は、一切断れますか。
鑑定を約束どおり提供していれば、的中しなかったことだけを理由とする返金は、通常は契約の内容に含まれません。ただし、結果を断定して勧誘した場合や、約束した鑑定を提供していない場合は、取消しや債務不履行の問題になります。
決済の記録として、何を保存すればよいですか。
申込み画面の表示内容、規約への同意の日時と版、決済の日時と取引番号、鑑定の日時・方式・所要時間、やり取りのメッセージ、苦情や請求を受けた日時と回答の控えです。相談の内容そのものは、提出が必要な範囲を超えて扱わないようにします。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の事業への当てはめは、提供する内容、料金の受け取り方、勧誘の方法、お客様が事業者か個人かなどによって異なります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 消費者契約法(消費者庁) / 景品表示法(消費者庁) / 国民生活センター